第2話

輝が自殺したそうだ。

未だに信じられない。いや、信じたくない。誰にも相談している様子も無かったし、何か言えない秘密があるようにも悩みも抱えているようには見えなかったからただただ、驚きでいっぱいだ。

輝が自殺してから、マスコミ各社が学校に押しかけ取材を受けた。俺もクラスのみんなも何が何だか分からないけど、あの輝が自殺するとは思っても居なかった。俺達の精神は日に日にすり減って行った……



あの男子生徒の自殺があってから凡そ1月。「浄化する」という遺書を遺して亡くなったのは最初の男子学生に加えて5人増えた。

内訳を見たが、年齢層や職種などを見ても自殺者に関係するのは「例の記事を見ている」という点ただ1つだけである。警察も捜査を続けているが、記事の掲載されていたサイトは海外サーバーを幾つも通して作成されていて、記事を書いた人物を特定するのは難しいそうだ。


そんなある日、とある動画投稿サイトで1つの動画が注目される。

それは黒いスクリーンに白い文字で淡々と自分が記事の作成者であること。自分は宗教団体「冀望の陽」の教祖であることが書かれるだけの動画だった。

動画の最後にはURLが記されており、そこに飛ぶと「冀望の陽 信者の四阿」と書かれた所謂2ちゃんねるの掲示板、スレッドのようなものが建っていた。そこでは冀望の陽の信者を名乗る人々がどのように肉体から魂を切り離すかについて議論が行われていた。警察が動画のアップロード者を特定しようにも捨て垢と言われるものでどこにも辿り着かないようなアカウントだった。掲示板も封鎖したがあらゆる所で次々に新しいスレッドが建ち、そのどれもで信者達が議論していた。そうしてそのうち見えもしない聞こえもしないネット上に本当に教祖が生まれた。教祖を崇拝する者まで現れるしだいだ。

警察は事件に発展しないよう警戒を強めるようだ。

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