反逆者

「反逆者・・・?どういう事です?」


 受け取った物の大きさもそうなんだが、二代目が反逆者と言うのは穏やかじゃないな。

 ルシファー様は苦虫を噛み潰したみたいになって凄く話しにくそうだ。


「ミカ・・・あまり言わないでくれないか・・・あれは事故で非は此方に・・・」


「それでも彼が「調停者コンシリエイター」としての職務を放棄し行方を眩ましたのは事実です。」


 行方を眩ました?何があったんだ?


「あの・・・何が・・・」


 二代目について聞こうとするとルシファー様はうつむき、ミカエル様は語ろうとしない、と言うよりルシファー様が語るのを待っている様だ。だったらもう一つの疑問について聞いてみよう。


「では・・・「調停者コンシリエイター」とは?「護る者」ではなく?」


 「護る者」ならば聞いていたので理解できるが「調停者コンシリエイター」とは?言い方だけの問題なのかそれとも違う意味があるのか。


「あ、あぁ、すまない。我々との契約が正式に決まってから調停者コンシリエイターについて説明するつもりだったんだ。「護る者」と言う呼称は便宜上の呼称なんだ。」


「どうしてです?」


「その存在は好き勝手したい奴等からすれば邪魔な存在でしかないからね。契約を持ち掛けた相手を護る為と我々の行動を知られない様にする為なんだよ。」


 そう言う事か。それについては納得した。つまり本来の呼称は「調停者コンシリエイター」である種の隠語的に「護る者」としていただけだったんだ。


「勿論、やる事に変わりは無くいらん事する悪魔やそれに連なる者・・・召喚に長けた人間なんかを止めて世界のバランス・・・均衡を保ってもらいたい。」


「それについては解りました・・・けどそれならば尚の事二代目について話してください。この先、確実に二代目が邪魔をしてくる可能性があるんです。その時、どう対処していくか、どういった人物か知らなければ一方的にやられるだけですので。」


 ルシファー様は暫く悩むもやがて意を決したのか「うん」と頷く。


「わかった・・・しかし・・・」


ルシファー様は先程から俺達の契約の邪魔をしない為に目を閉じ黙り込んでいた菊理をちらりと見る。


「彼について聞けばこの女神も無関係ではすまなくなる・・・できれば・・・」


「・・・私は。」


菊理はゆっくりと目を開けルシファー様を見つめる。


「私は、女神である前に彼の妻です。彼の向かう先に困難が有るのなら、彼を支え共に乗り越えて行きます。」


「・・・しかし君は女神とは言え半分は人間。不老であっても不死ではないんだ。いずれ別れの時が来る・・・」


「でもこの「想い」もこの「」も不滅です。例え死に別れたとしても必ず、必ず巡り逢います。」


菊理ははっきりと言い切る。この想いは普通の人達からすれば、とても重い物なんだろうな。しかし今の俺にはとても幸せでありがたく、更なる強固な決意を俺に抱かせる力強い物だった。


「・・・はぁ。分かった。いずれ彼とは出会うだろう。その時に事情を知っている者がいれば対処しやすくなるだろうし・・・では、心して聞いてくれ。」


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