変身!

梟の悪魔~彰視点




 「なんやて・・・」


 俺は自分の周囲に起きた事に目を疑った。


 「何処でどうやったら、全身包んだだけで周囲が吹っ飛ぶんや!」


 辺りを見回すと少し開けては居たがあれだけあった木々が遠くの方まで吹き飛んでいた。


 「こ、これはあれか?ヒーローが変身する時に身を守る為のバリアみたいな物か?」


 にしてもやり過ぎやろ。


 俺は今の自分がどうなっているのか確認する為にステータスを開く。

 レベルは・・・変わってないな。んで、ステータスは・・・・・・・・・なんじゃこりぁあ!

 そこに表記されていたのは「×1.5」・・・「バツ」やないぞ?「かける」だぞ?


 「これは・・・エグいな・・・」


 某ひっぱりハンティングゲームなら、ぶっ壊れとか言われるレベルだ。

 と、その時、遠くの方に根津さんと律っさんの姿が見えた。


 「ん?あ、オーイ。」


 と自分では軽く手を挙げたつもりだったのだが、その手から縦に3本の真空刃が飛び出し地面を切り裂いていく。


 「しまっ・・・!!」


 うっそだろおい。


 慌てて2人の方を確認すると何とか躱せた見たいでホッとした。


 「うっわ、かなり警戒してるな・・・」


 このままじゃいけないと思い、どうやって言い訳するか考えながら彼女達に近づこうとした。


 「え?」


 凄まじい勢いで景色が流れ、100m以上離れていた2人の姿が目前に迫る。


 「あかん!!」


 咄嗟に律っさんが根津さんをかばって俺の前へ飛び出した。

 俺も咄嗟にぶつかると思い左手を前に突きだすとその掌に衝撃が走り、律っさんが吹っ飛んでいく。


 (やっちまった・・・)


 すかさずアナライズを使い律っさんの状態を確認すると、気を失ってはいるが命には別状問題は無いのが分かりホッとした。

 根津さんは「・・・あ・・・あぁ・・・」と腰が抜けたのかその場でへたり込み、声にならない声を挙げている。



 (これは・・・ともかく、謝るしかない!ジャンピング土下座だ!!)



 今思えば俺自身も混乱していたのだろう。普通にその場で土下座すれば良いのに、何故か、何・故・か「飛ぶ」と言う選択肢を選んでしまった。

 軽く、そう、足が離れる程度のつもりで飛んだつもりがみるみる地面が離れていく。


 「うわっとぅ!」


 バランスを崩しかけたが無意識で立て直そうとしたのだろう、突然黒い翼が現れ、空中で静止できた。


 (こんな事も出来るのか・・・いやそれよりも!)


 俺は静止するのを止め、落ちるに任せると同時に土下座の態勢をとる。

 そして・・・


 「すみませんでしたー!!!」










 「・・・と言う事で御座いますれば。」


 根津さんと律っさんに(主に律っさんに)見下されながら、何故そうなったのかを説明する。


 「なるほど?で?アッキー師匠はどうしてくれるんですか?」


 「は?どうって、どうすればよろしいので?」


 律っさんはすごいこわいかおで迫ってくる・・・そして俺の耳元でこう呟いた。


 「・・・師匠の金で神田川屋台船宴会飲み放題・・・」


 「は?・・・はぁ!?ちょっ・・・ちょお!?」


 「なーに、直ぐにとは言わん。こっちに来たばかりの師匠が金持っとらんのは、よーわかっとる!それにうち等は多分黒岩の奴に追われとるはずや。

 せやからな?ほとぼりが冷めた時でええんやで?

 そん時に耳ぃ揃えて払って貰えればええんや。

 もしくは利子ぃ分だけ毎月払って貰えれば、うち等はなーんも文句は言わん。」


 「そ、そんな御無体なぁ~・・・ま、○田はん、そこを何とかマケてもらえんかいなぁ?」


 「あかんもんはあかん!

 この○田銀○朗・・・なめてもろたらあかんで!!きっちり100両、耳ぃ揃えて払って貰おうかぁ!!」


 「ひぃ~・・・!?」


 と、そこまでやっといて俺と律っさんは2人で大笑いする。


 「え?え?何?」


 「あははは・・・関西人にしか分からんネタで悪いね。」


 「せやな。あー・・・また見たなってきたわ・・・」


 「それな。あ、でも後200年程すれば第1話から見れんじゃね?

 俺等何せ悪魔だからな。戦いとかで死なない限りは寿命で死ぬ事は無さそうだし。」


 「あ、確かに。」


 と言っても確かめ様はないんだがな。


 「あの・・・それよりもさっきの事何だけど・・・」


 根津さんがおずおずと手を挙げ、話を戻そうとする。


 「そや!宴会は後日と言う事で良いとしてさっきのヤツのやり方や!」


 宴会不可避なのな・・・


 「どうやったんや!さあ!キリキリ吐け!」


 俺はすかさず腹に手を当てわざと痛そうな顔をする。


 「キリキリキリキリ、オロオロオロオロ」


 「ぶっ!ちょっ!吐き真似かいな!」


 「くっ・・・ダ、ダメ!あははははは!」


 うん、ウケたな。


 「と、まあ、冗談は置いといて、やり方なぁ・・・実際よく分かってないんだよな。」


 「え?どういうこっちゃ?」


 「キ、キリキ・・・ヒッヒヒヒ!」


 「つまりな?偶然出来たモンなんや。」


 「偶然?」


 「そや。けどな、多分やけど・・・」


 俺はあの姿になった経緯を振り返ってみる。

 確かあの時・・・


 「自分用に鎧とかを思い描いた時にどうしても頭から離れんイメージってのがあってな?恐らくが重要とちゃうかと思っとる。」


 まぁ、それが某3枚のメダルで変身するヒーローだった訳だが。


 「あー・・・つまりあれやな?こほん。変身!\フクロウ/\フクロウ/\フクロウ/\フッフッフ、フフフ、フッフッフ/」


 「止めんかい!笑ってるだけにしか聞こえんわ!」


 律っさんのせいで余計にそのイメージが強くなってしまった。

 しかも本人は最後のフレーズでどや顔しながら言うから微妙に腹立つ。


 「でも、イメージか・・・ん?でもうちは前からやっとったけど、あんなに強ならんかったで?」


 「そう、やから分からんのや。何がちゃう?どこに差が?・・・分からん・・・ねぇ、根津さんは・・・」


 根津さんにも意見を聞こうと声をかけると彼女はうずくまって地面をバンバン叩いていた。


 「~~~~~~~~~~!!」






 いや、ウケすぎやろ。

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