すっごーい!
「あー・・・苦しかった・・・」
ツボにハマった根津さんはあれから暫くして(約1時間)漸く治まった。
「えらい掛かったな~。ともかく変身について根津さんの意見を聞きたいんやけど。」
「・・・う~ん・・・分かんない・・・と言うか服の作り方が分かんなかった私に分かるとでも?」
「確かに。」
「と、なると、ステ見ながら変化を調べんとな・・・師匠はそれでOK?」
「OK。とは言えあれだけの被害がまた起こると100パー人来るから場所変えよう。・・・何処が良いかな?」
あれだけの規模の衝撃波だ。人里離れているとは言え、騒ぎになっていないとは限らない。
「だったら山の方はどう?そこなら早々騒ぎになりにくいと思う。」
「ウチもそれでええで。方々出歩いとるミッチーの方が慣れとるやろし。」
「ほな、その方向で。」
――――――――――――――――――――
5時間後
めっさ歩いた。
「な、なぁ・・・今どこら辺?俺関西から出た事無いからよく分からんのだが・・・」
表の街道は何かと目立つからと根津さんが先導し、裏道・・・いや、獣道を歩き倒して山の中に到着したのだが。
「ん?今ね~・・・高尾山辺り?」
は?つまり・・・何処?
「現代だと八王子になるんだけど・・・」
いや、知らんて。
「ん~・・・確か新宿から50分位だったかな?電車でだけど。」
「律っさんや。電車で1時間とは徒歩だとどれ位かいの?」
「知らん。」
そやな。
「ほぼ直線で来たし、悪魔の脚力だから早い方だと思うんですが・・・」
「さいでっか・・・」
確かに凄く早いとは思うよ?でもね?
「電車で1時間弱・・・徒歩やと日が暮れそうやね・・・」
「それも色々加味して考えると・・・嫌や嫌や!ウチは考えとう無い!」
「え、えーと・・・さ、遮る物が無いから早く着いたと思ってもらえば・・・」
この娘、普段どんだけ歩き倒してんの?
悪魔なので疲れてはいないけど、人として精神的に疲れた俺と律っさんはその場でへたり込む。
「あー・・・疲れてる所ごめんなのだけどさ。寝床とか作んないと「熊」位じゃ怪我をしたりしないけど毎回叩き起こされるから、休むのはもうちょっとだけ我慢してもらえる?」
さらりと「熊」って言ったよ、この娘。
「熊」と聞いた俺と律っさんは素早く立ち上がり根津さんの指導の元、簡易の寝床を組んでいく。
と言っても、木の葉を集めただけだが。
「まぁ、こんなものでしょ。」
「で、この集めた木の葉でどうやって寝るんや?」
「聞かん方が良いと思うぞ?」
悪いな律っさん・・・俺は大体想像できてるぞ。
「あぁ、簡単だよ。潜るの。」
「え?上に寝転ぶんじゃ・・・」
「それだと熊さんとかワンコに甘噛で起こされるよ?」
うん、それは甘噛やない。食い付かれとるんや。
「し、しかしそんなん虫だらけになるやん・・・」
「そこは・・・慣れかな?」
レンジャーでは無いので慣れたくはない。流石に虫は嫌だし、サバイバルに慣れてない俺と律っさんにはかなりキツい。
朝起きてそのまま口の中に入った虫を食すのは勘弁な。
「・・・すまん。俺が枝で骨組み組むから・・・あ。」
そこまで言ってふと閃いた。
「どうしたの?」
「そう!そうだよ!何も手作業せんでもええやん!魔力で組めばええんや!」
俺の言葉に2人もハッとする。
「天才か!?」
「そ、そうか!前は魔力の使い方を魔法としてしか考えてなかったから今なら!」
「ま、待て。まだ慌てる時間じゃあない。衣類の応用だが、身に付ける物と住居じゃあ訳が違う。恐らく認識とイメージの仕方だと思うのだがな・・・」
「師匠。ともかくやってみーひん?できんかった時の事も考えて・・・まず、小ぃさいのから。」
「せ、せやな。」
俺は頭ん中で10cm位の模型をイメージして魔力を集めていく。
物が小さい為か俺の魔力がでかいのか、ポンッと音が鳴ると模型のログハウスが出てきた。
「おお!これなら・・・」
「待て待て。どれぐらい持つか鑑定してみないと・・・うん。この大きさなら何年でも行ける。」
アナライズを模型にかけると術者が死ぬまで消えないときた。
「これならいける!」
「すっごーい!師匠は家すら魔力で作れる悪魔なんだね!」
「はっはっはっ!もっと誉めても良いのよ?!では早速我等の拠点を作るとしようじゃないか!!」
1時間後
余裕と思っていた時期が私にもありました。
途中までは良かったんだ、途中までは。
1/2ほどまでは順調で負荷もなかったんだが進むにつれて魔力消費が跳ね上がり、完成間近に差し掛かると同時に俺は意識を失い家も消え去った。
「現実はそないにあもうないっちゅうこっちゃな・・・」
「何が、何があかんのや・・・」
「な、内装・・・とか?」
ともかくこれは無理だ。
なんとかならんもんか・・・
「ん?待てよ・・・根津さん。今、内装って言ったよね?」
「え、えぇ・・・」
「・・・もしかして・・・」
もう一度落ち着いて考えてみる。
俺のその様子を2人が固唾を飲んで見守る。
「・・・根津さん・・・流石やな・・・わかったで!」
俺はキョトンとする2人を尻目に立ち上がり再び家の構築を始める。
「先ずはアナライズ!・・・ふむ、これは使えるな・・・この木にこう!」
俺は近くの木に掌底を弱めに打ち込む。ドンッという音と共にその木に留まっていた鳥達が一斉にバサバサと飛んでいき、少し遅れて大量の虫がボトボトッと落ちてくる。
「ぎゃーっ!!師匠、なにさらしとんねん!」
なんか悲鳴が聞こえるが今は無視や。
虫だけにとか思うなよ?
「ええから黙って見とけ。」
そう言って俺は手に風の刃をイメージした魔力を溜め、下の方を狙って放つ。
スパッと切断できたな。
魔法すげぇ。
伐った木が倒れないように手で押さえながら2人に頼み事をする。
「根津さんと律っさんは開けた場所を探してくれんか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます