ビフ君よろしく。
解説回2
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「私の事ですか・・・じゃあビフ君よろしく。」
「やっぱ俺に振るのかー!」
菊?姫?に急に振られ非難の声を挙げるも渋々ビフロンスは説明をしだす。
「はぁ・・・だけどその事を話すには儀式についてからでないとねー。一応、俺の目的にも繋がっているから。」
ビフロンスの言葉に「頼む」と長谷川様が首肯く。
「じゃまず、儀式については少し話したけど、あれは幾つかのポイント・・・場所で同時に起動する事でその中央に悪魔・・・俺達みたいな存在を喚び出す物なんだ。
本来なら一ヶ所で事足りるんだけどネビロス曰く「そうしなければならない様に・・・強いられているんだ!!」らしい。」
「らしい・・・てぇ事は奴さんも誰かに命令されているってぇ事かい?」
「うーん、俺はあの場所と贄の管理・護衛として喚ばれたからね。詳しくは知らないのさー。それに喚ばれただけで契約してないからどうでもいいしね。」
どうでもいい、か。確か悪魔や妖怪達は契約さえしっかり結べば協力的に動いてくれるんだったな・・・あれ?
「あ、あのービフロンスさん?もしかして今の契約者って・・・」
「うん。菊ちゃんだよ。」
やはりか。だからあの時俺達から菊を護ろうとしたのか。
しかし、そうなると贄になる事が分かってて契約した事になる。
「・・・それだと利益が無いんじゃ?」
「お。いい所突くね。贄になるイコール契約する意味が確かに無いよ。でもねー「儀式を止める」のが契約内容なら、話が変わるでしょ?」
「・・・そうか、矛盾するんだ!」
「Exactly!その通りだよ!まぁ、狡く行くならそのままでも良いけどさ、俺的にイラッと来たからね。あんな儀式、台無しにしたいじゃない?だから契約したし目的も契約者をどんな形であれ助けて儀式を潰したかったんだ。」
ちょくちょく分からない言葉もあるが全体的に何となく理解した。
「・・・理由は儀式をぶっ潰す。そんだけか?他にあったんじゃねぇかい?」
長谷川様が更に深く探る。
「本当にそんだけだよ。まぁ、菊ちゃんを助けた後の事はほっとくつもりだったんだけどね・・・菊ちゃんの本来の力に気付いてからは本気でどうしようか悩んだよ。魂だけ助けても元の体に戻すと化け物になるし、別の肉体を探して放り込んでもやっぱ化け物だしさ。」
「ビフ君酷い・・・」
「それしか方法が無かったんだよ!?儀式前だと儀式を潰せないし、後でも追われ続けるだろうしさ!?」
曲がりなりにも助けようとしてくれていなければ、こうして皆で居られなかったのは確かだけど少し複雑な気持ちではある。
「大体は分かった。んでよ、お菊ちゃんのその力ってぇと?」
「女神の力だよ。無自覚だったけどね。」
女神の・・・そう聞いて皆が彼女を見る。
「無自覚なのは仕方がないよ?私の「
「分霊?」
「はい。色々諸説諸々あるけど、神性を持つ存在・・・つまり神々の事だけど、そういった存在は一般的に知られている側面以外にも違う側面があります。それ自体は人間も同じですが、私達神々の場合はそれ自体が別個体として認識されたりするんです。」
「ふむ・・・良く分からん。」
「人間に色々な顔があるのは分かるんですが・・・」
俺と長谷川様があまり理解できない中、瀧が「あーそう言う事か」と理解を示した。
「つまりじゃな・・・どう言えば分かりやすいかの?」
「ビフ君よろしく。」
「丸投げかよー・・・」
二人の声に肩を落としながらビフロンスは説明を続ける。
「えーと、さっきの別個体として認識された側面を神々は自身と切り離して本当に別個体とする事ができるんだよ。
彼女はそれを行ったんだよー・・・弱っているにも関わらずにね。」
ビフロンスが少し呆れた感じでどっちかわからない彼女を見ると乾いた笑いで説明を引き継いだ。
「本当は人として過ごした後に、天寿を全うした魂を再び自分に戻して自身の存在を高める予定だったんだけど、分けた時に失敗しちゃって、記憶が消えちゃったの。あの時、本当に浅兄ちゃんに出会ってなかったら消滅してた・・・」
「じゃあ、記憶が戻った時に戻ろうと決めてたのか?」
「決めてはいなかったよ。連れてこられたのが分霊かどうかは知らなかっ事だしね。
これが終わったら浅兄ちゃんに話して、分霊探しの旅に出ようと思ってた。」
なるほど?だとすれば何時、菊が分霊だと分かったのか、ビフロンスの本来の目的を知ったのか疑問が残る・・・
「じゃあよ。お前さん、何時気が付いた?お菊が分霊ってのと、そこの牛骸骨の目的ってやつによ?あー後、今はどっちだ?どっちで接すればいい?」
長谷川様が俺が思った事と同じ疑問を問いかける。
確かに口調は菊だが姫でもあるからどう接すればいいのか難しい。
「えっと、私が私である事についてはビフ君の目的とほぼ同時です。此処に辿り着く前、「うぶの群れ」に遭遇したじゃないですか?あれだけ系統?が違うんですよ。」
系統が違う?どう言う事だ?
「系統が違うとはどう言う事だ?あれも犠牲者達じゃないのか?」
「あれだけ動く死体が居る中で「うぶ」だけは妖怪としてのうぶなんです。
つまり、あれは犠牲者でも何でもなくただの妖怪なんです。」
なるほど・・・て、どう言う事?俺と長谷川様は今一分からずに首を傾げる。
「成る程のう。聞いてて妾でも分かったわ。・・・人間2人は分からんか。要はこの
そう言う事かと納得するも、ふと、ある事を思い出し瀧の方を見ると素知らぬ素振りで在らぬ方を向いている。
気付いて無かったんだな・・・
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