震える

 心臓が剥き出しになったから

 生まれることが出来たんだ

 柔らかい産声

 灯台の光が潰えた

 窓の外に散らばった静寂

 真実はとうの昔に

 灰の病棟に置いてきた

 散りばめたのは 誰

 何処へ行くの

 何処へ行きたいの

 知ろうとしただけで

 判ろうとはしなかった

 無垢の毒が蛇口から滴っている

 飲み干して

 命を吐いた

 消えればよかったのに

 消えてくれればよかったのに

 向日葵の奥に隠した真実が

 選ばれる

 耳に入れた雑音が花開く

 助かってみたかった

 報われてみたかった

 ふるいから零れても

 捨てられても癒えない

 誰かのためには生きられない

 傍らの向日葵が口を閉じる

 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る