幕間


 待ち合わせ場所に――人気も明かりもない路地裏に現れたアルファは、やけに嬉しそうな顔をしていた。

 気持ちが悪い。

「オメガったら、酷い言い草だなぁ。まぁいいけどね、今日の俺は機嫌がいいし」

 爬虫類の笑みで、アルファが笑う。確かに、知り合ってから一番の笑みだった。

「やっぱりさ、情報は金で買うのが一番だね。この街に来て正解だった。予想通り、魔女と使い魔が依頼品を匿ってる。しかもその魔女は、かの妖精王の娘ときた! ハハッ、バラで買った宝くじが、全部当たったみたいな気分だよ!」

 人気のない路地裏で、アルファが一人踊る。

 彼が見せる狂気は本物だった。

「楽しくなりそうだなぁ……。ああ、そんな顔しないでよ。オメガの依頼もきちんと済ませるからさ」

 ……不安は大きい。だがこちらは、アルファを信じるしかないのだ。

 決断は既に済んでいる。それを示すように彼を睨むと、アルファが楽しげに笑った。

「それじゃあ、定時報告をはじめよっか」




 

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