第5話ライブの余韻は残るもの...

天峰さんのライブ行った日から、約一週間近くが経った。夏休みは残り三週間近くになった。

 私は、天峰さんのライブの余韻がとても残っていた。嗚呼、あの時間はかけがえのないものだなと思いながら、机に向かって、夏休みの宿題に取り掛かっていた。

まず、最初は数学を終わらせようと思い、教科書やノートで意味の分からない数式がどんな意味を指しているのか調べつつ、一生懸命に進めた。

 そんな中、私のスマホが鳴った。誰何だよ、人が一生懸命に宿題を進めているのにと思いつつ、電話を取った。

「もしもし」

「あ、なずな!久しぶりー!」

「久しぶりって何の用?人が折角夏休みの宿題を進めているところだったのに」

「ごめんね、なずな」

「いいよ、別に。そんなに進んでないから」

「ありがとう!なずな。あのさ、なずな。本題なんだけどね、今から会えない?いつものカフェで」

「今から?どうしたの?急に」

「天峰さんのライブについてゆっくり語り合いたいんだよ。あの日、私達疲れてて、天峰さんについてゆっくり語れてないでしょ?」

「確かに、疲れてたもんね」

「だからさ、夏休みの宿題もあるけどさ、ちょっとした息抜きということでさ、今から会えないかなと思って…」

「いいよ、今から準備して、カフェに行く」

「ありがとう、じゃあ、いつものカフェでね」

「了解」

私は、この電話の後で、すぐに身支度をした。出ていく前に忘れ物はないか、確認して家を出た。

 カフェに着くと、美桜が座っていた。こっちの席だよと手招きをしていた。

席に着いて、飲み物を注文し、さっそく本題に入った。

「あのライブから、約一週間が経つけど、なんか余韻みたいなもの残ってない?」

「残ってるよ、だからね、夏休みの宿題が思うように進まないんだよね」

「分かる!全然進まないよね、不思議」

「まあ、ライブ結構凄かったもんね。私さ、好きなアーティストのライブは、大体ビデオを買って見てたから、なんか臨場感があったよ」

「あ、そうなんだ。そういえば、なずな、ライブ初参戦だったね」

「うん、だからさ、余計に緊張した。あとさ、生で見るから余計に興奮するんだよね」

「なるほどね。天峰さん、改めましてどうだった?」

「本当にかっこ良かった」

「そういうと思った。私も意識吹き飛んじゃうところだった」

「そうだったの?私、てっきり、美桜、ライブ何回も行ったことがあるって言ってたから、ライブ慣れてるのかなと思ってた」

「そんなことないよ!ライブは、いつ行っても緊張するよ」

「そうなんだ…」

「何よ、その意外そうな顔は」

美桜は、顔を赤くして、失敬な!と言わんばかりに怒っていた。私は、そんな姿の美桜がおかしくて、笑ってしまった。美桜は、私に、何笑ってんのよ!と言っていたが、怒っている美桜自身も、馬鹿らしくなったのか、私と一緒に笑い始めた。

 こんな楽しい時間がずっと続いたらいいのにと、思った。

まさか、あの出来事が起こるなんて…

今の、私達は、何も知らなかった。






































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