第4話いざ、天峰さんのライブへ!
月日が経って、七月二十八日。天峰さんのライブ当日になった。
私は、夜中三時起きで準備をしていた。ライブ会場は、幕張メッセ。千葉県まで、始発の新幹線に乗らなくてはならない。なので、遅れるわけにはいかないのだ。
「母さん!準備できたよ!」
「準備できたのね。今日は、お父さんも仕事だし、私一人になるけど楽しんでくるのよ!さあ、車に乗りなさい。駅まで送るわ」
「分かった!」
私は、元気良く返事をして、車に乗り込んだ。
駅に到着してから、五分後に美桜がやってきた。
「おはよう!なずな!相変わらず、来るの早いね」
「いいでしょ。早くても、楽しみにしてたんだから」
他愛のない会話をしていると、美桜のお母さんたちがやって来た。
「おはよう、なずなちゃん」
「おはようございます。美桜のお母さん、今日はよろしくお願いします」
「いいのよ、なずなちゃん。遠慮しないで、存分に楽しんでね!」
「ありがとうございます」
私は、深く頭を下げて、続いて、やって来た美桜のお姉さんにも挨拶をした。
「おはようございます。美桜のお姉さん。今日は、よろしくお願いします」
「おはよう!なずなちゃん!今日は、よろしくね!」
私たちは、この後で始発の新幹線に乗り、千葉に向かった。
もう、時計の針が十時を指す頃に千葉に着いた。
千葉に着いてから、私たちは、幕張メッセに行った。幕張メッセに近づくにつれて、人も多くなっていく。皆、天峰さんのライブ目当てだろう。勿論、私達もだが。
私達は、まず物品販売に行った。まだ、時間が早いんじゃないかと思ったが、ライブの様々な観客たちが列をつくっていた。厚底を履いている人やとても派手な衣装を着ている人がいた。他にも、髪を盛って、明らかに目立ちたいオーラを放っている人もいた。私は、ライブに厚底を履いたり、髪を盛ったりしたら、後ろにいる観客に迷惑ではないかと思う自分を抑えた。実際に、言ってしまうと相手が逆に怒ったら面倒臭いことになるだろうと思ったからだ。そもそも、言ったところで変わるかどうかも分からないとも思った。
「わあ、人いっぱいね。正直、こんなに人がいるなんて思わなかった」
「ライブの物品販売をなめちゃいけないよ、なずな!でも、ちゃんと並び終えたら、花峰さんが待ってるからさ。頑張って耐えよう」
「う、うん」
初めての物品販売を終えた私と、美桜達と一緒にライブ会場に入り、最前列に座った。ライブの幕が開き、天峰さんが登場した。
「皆ー!僕に会いに来てくれてありがとう!今日は、皆にハッピーになってもらうよ!最初はこの曲からだよ!皆、僕について来てね!」
ライブ会場は、お客さんたちの熱気と歓声でいっぱいになった。私は、感動した。ライブが、こんなに煌びやかなものなんだと初めて知った。私の気分は、最高潮だった。
「凄いね!美桜!私こんな気持ち初めて!」
「そうでしょ?来て良かったでしょ?」
「うん!私、なんか、幸せだよ!」
「私さ、こんなにはしゃいでるなずな見るの初めて」
「そう?私だってはしゃぐときははしゃぐよ。ここまで来て、お通夜みたいな顔してたら話になんないでしょ?」
「それもそうだね。なずなの言う通りだよ!じゃあ、そうと決まれば全力で楽しもう!」
「うん!」
私達は時間も忘れて楽しんだ。時間が経つのも想像以上に早かった。だるい学校が終わるよりも早いなと思った。もう、ライブも最終に近づいてきた。
「皆、僕に最後までついて来てくれてありがとう!最後になると寂しいよね…僕も寂しいけど、皆にはハッピーな気持ちでいて欲しいから、最後は盛り上がる曲でハッピーになってもらうよ!」
花峰さんは、元気な声でそう言った。私も寂しかったがもうそんな時間なんだと思った。そして、天峰さんの曲が終わった。だが、観客からのアンコール!という声は会場に響いた。
「ねえ美桜?天峰さん出て来るの?」
「出て来るよ!取り敢えず、私達もアンコールって言おう!」
「うん!」
すると、会場が急に明るいライトに包まれた。天峰さんが登場すると私は思った。会場は、瞬く間に黄色い歓声に包まれた。
「皆ー!アンコールをありがとう!じゃあ、皆のアンコールに応えて、精一杯僕、頑張るよー!皆、本当にありがとうございました!」
天峰さんは、とびっきりの笑顔で精一杯歌い切った。私は鳥肌が立った。花峰さんは、とても素敵な人だと思った。心の中で、天峰さんは、、可愛い人だなと思ってしまった。
ライブは、このアンコールで終わりを告げた。
帰りは、観客が一斉に帰宅するため、新幹線などの交通機関がとても混んでいた。私達は、無事帰りの新幹線に乗ることができた。
ライブの余韻は、残りつつ、家路に着いた。
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