第3話親への説得!ライブにいざ参ろうぞ!

 私たちは、カフェから出た後、自分の親を説得するべく帰宅した。

私は、まず母親に天峰さんが好きなことを話した。

「ああ、なずは、声優が好きなのね」

「うん、そうだよ」

母には、天峰さんの画像を見せたり、天峰さんの特徴を教えたりした。母は、いい人じゃないと言ってくれた。そして、本題に入った。

「あのね、私、美桜に天峰さんのライブに行かないって、今日誘われてさ…行ってもいい?」

「子供だけで行くの?」

「う、うん。そうだけど…」

「それは、駄目よ。この頃、物騒な世の中でしょ。この間だって、高校生が事件に巻き込まれたニュースが報道されてたくらいよ。なずも知っているでしょう?」

「知ってるよ。でも、私は行きたいの」

「誰か付き添ってくれる人はいるの?私は嫌よ。ああいうところは性に合わないの」

「それも分かってる。美桜のお姉さんと美桜のお母さんが付き添うと思うよ。美桜のお母さんと、お姉さんはよくライブに行くって美桜が言ってたし」

「今回はどうなの?」

「大丈夫。美桜が説得してくれるから。もう少ししたら、電話がかかってくるから」

と話した。私の予想通りに十五分後に電話がかかってきた。

「美桜?どうだった?」

「大丈夫だってさ!行けるよ!ライブ!付き添ってくれるってさ!お母さんも、お姉ちゃんも」

「本当?良かった!ありがとう!美桜!」

「本当に感謝してよ?もう、大変だったんだから」

「分かってるよ。さすが、美桜!」

「じゃーね!なずな!」

「うん!ありがとう!」

私の気持ちは、最高潮だった。この電話の後で、母にもう一度話してみた。

「美桜のお母さんとお姉さんが付き添ってくれるってさ。ねえ、行ってもいいでしょ?」

母は、顔を一瞬歪ませたが、私の説得に観念したのか、真面目な顔つきに変わって、話を続けた。

「分かった。いいわよ。美桜ちゃんといってらっしゃい。美桜ちゃんのお姉さんとお母さんが付いているなら大丈夫だと思うわ」

「ありがとう、母さん」

 母の許可を得ることができた私は、美桜にもう一度電話をかけてみた。

「もしもし?美桜?」

「どうしたの?なず」

「母さんが、美桜と天峰さんのライブに行ってもいいって言ってくれたよ!」

「良かったじゃん!これで、ひと段落したね。お疲れ、なず」

「うん。良かったよ。母さんがライブに行くことを許してくれて…美桜もお疲れ。私、美桜の協力がなかったら、もう一生ライブなんて行けなかった」

「もう、大袈裟だよ!なず!とにかくさ、全力で天峰さんのライブを楽しもうよ!」

「うん!」

そう言って、私は電話を切った。

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