第77話ラフタリアの散々な1日

 クリスが魔王城に招待された翌日、街の冒険者ギルドの掲示板の前で、朝早くからラフタリアが依頼の確認をしていた。

 地球の時刻で言うならまだ8時前の時間帯のため、他の冒険者の数は少なく、張り出されたばかりの依頼が所狭しと並んでいる。


 「さてと、何を受けようかしら・・・昨日はほとんど何も出来なかったし、出来ればやり甲斐のある依頼が良いんだけど」


 ラフタリアは掲示板の依頼を物色しながら唸っている・・・彼女は昨日清宏達と別れた後、弓の性能を確かめる為に簡単な依頼を受けたまでは良かったのだが、調整をしなければ使い物にならなかったのだ。

 その後、何とか依頼をクリアしたラフタリアは、宿に籠り弓の調整のため全ての時間を犠牲にしてしまった・・・だがその甲斐あってか、弓の調整は満足のいく仕上がりになっている。

 

 「まさか、この弓の調整があんなに面倒だったとはね・・・説明書が無かったらヤバかったわね。

 おっ・・・これなんか良さそうね!弓の性能を試すにはもってこいかも!!」


 ラフタリアは一枚の依頼書を千切って受付に向かう・・・その依頼書には、近隣の集落周辺に現れた飛竜の調査と書かれ、受注ランクはAとなっている。


 「おはよう、今日はこの依頼を受けるわね!」


 「おはようございます!ラフタリアさんは流石S級ですね・・・A級の依頼を1人で受けられるなんて凄いです!」


 依頼書を見た受付嬢は、ラフタリアを尊敬の眼差しで見つめている。


 「まぁ、討伐となると少し面倒だけど、これは調査の依頼だしね!

 もし戦う羽目になったとしても、飛竜程度なら射手の私には問題ないわよ!」


 ギルドの依頼は、基本的にパーティで受ける事が前提になっている。

 A級の依頼の場合、同じ等級のパーティでなければ達成困難であるため、例えA級であってもソロでは受注できないのだが、上の等級の冒険者であればソロでの受注が可能になっている。

 竜族に関する依頼は基本的にB級以上になるのだが、B級に分類される竜族は、ヴェロキラプトルのような陸上で生息する小型の肉食恐竜に似たものが多く、A級になると陸上に生息している大型種や飛竜がそれに該当する。

 S級やSS級ともなれば、各種竜族の王であったり、古竜などのごく一部の個体が分類される。

 ラフタリアやオーリック達がS級に昇格してから15年・・・現在も研鑽を重ねている彼等の実力は、既に赤龍単体であれば事前準備次第で十分に対処可能なほどにまでなっている。

 そんなラフタリアにかかれば、A級の竜族は小手調べ程度の相手でしかないのだ。


 「では、無事のご帰還をお待ちしております!」


 受付嬢は笑顔になり、習慣となっている挨拶でラフタリアを見送り、順番待ちをしていた次の冒険者から依頼書を受け取った。


 「んじゃま、頑張りますか!よろしくね、馬!

 あーぁ・・・私の馬だったら可愛い名前付けてあげるのになぁ」


 ラフタリアはギルドから借りた馬に跨り、依頼書に書かれていた目的地に向かって走り出した。






 ラフタリアが街を発って3時間後、目的地に到着した。

 その場所は、依頼を出した集落からしばらく北に進んだ森の中で、集落に馬を預けたラフタリアは、調査のために森に入ってからずっと嫌な感覚に襲われていた・・・その森は、異様な程に静かな場所だったのだ。


 「何かしら・・・いくら飛竜がいるからって、こんなに静かなのはおかしいわね?」


 ラフタリアは弓を構えて周囲を警戒する・・・だが、周囲には生きた動物や魔物の気配は感じられない。

 ラフタリアは警戒しながら探索をし、しばらくしてある物を見つけた・・・それは、森に生息していたであろう動物達の死骸だった。

 その死骸は既にかなりの時間が経過しているらしく、あまりの腐敗臭にラフタリアは顔をしかめた。

 

 「酷い臭いね・・・食い残しが多いし、何かあったのかしら?

 歯型と爪の痕は飛竜のものと見て間違いなさそうだけど、その飛竜すら近くにいないってのが気になるわね・・・」


 ラフタリアは動物達の死骸に火を放って全てを焼き払った・・・死骸をそのままにしてしまうと、疫病や新たな魔物を呼び寄せる原因になるからだ。

 

 「本当に何も無いわね・・・食事中に何者かの襲撃を受けて慌てて逃げ出したとか?でも、争った形跡も無いのよね・・・これは、とんだ無駄足だったかしら?」


 2時間程探索を続けたラフタリアだったが、動物達の死骸以外に手掛かりとなるような物が見つからず、死骸のあった場所に戻って来てため息をついた。

 ラフタリアが諦めて帰ろうとした瞬間、身の毛のよだつ程の気配を感じて弓を構える・・・すると、まともに立っていられないほどの暴風が吹き荒れた。

 

 「ちょっ!何よこの風は!?」


 ラフタリアは吹き飛ばされそうになったが、近くの木に辛うじて捕まり何とか持ち堪える。

 すると、その場を覆うように巨大な影が現れ、ラフタリアはその影の主を見て絶句した・・・目の前には現れたのは、鈍色に輝く鎧のような鱗で身を包み、全てを噛み砕き、あらゆる物を引き裂く鋭い牙と爪を持つ、全高20mはあろうかという巨大な竜だった・・・。


 「強大な魔力を感知して来てみれば、ただのエルフであったか・・・」


 その竜はラフタリアを睨みつけ、落胆したようにため息をついた。

 ラフタリアは目の前に現れた竜に恐れをなし、顔面蒼白で震えている・・・目の前にいる竜は、明らかにラフタリアの手に負える相手では無かったからだ。

 竜族の上位種・・・いわゆるS級以上の個体の中には、ごく稀に人語を理解し、人を超える知能を持つものがいる。

 そのような個体は、単体でもS級の中で最上位に位置付けされる程に厄介な個体である・・・それは、配下を従えてS級上位と見なされていた赤龍とは別格であり、アルトリウスと同格かそれ以上の力を持っているということだ。

 ラフタリア1人では・・・いや、仮にオーリック達が居たとしても勝てるかどうか解らない程の相手だ。


 「な・・・何で最上位種がこんな場所に・・・」


 ラフタリアは、恐怖に震えながらも辛うじて呟き、弓を構える・・・だが、なかなか狙いが定まらない。


 「ふむ、我輩を前にして恐怖に震えているにも関わらず気丈さを失わぬとは、なかなかどうして見所があるようだ・・・」


 「一体・・・一体何なのよあんたは!」


 ラフタリアが叫ぶと、その竜は口角を上げてニヤリと笑い、胸を張った。


 「我輩は覇竜である!名前はまだ無い!!」


 「・・・は?」


 覇竜の自己紹介を聞き、ラフタリアは呆れて震えが止まった・・・その場にしばしの沈黙が流れる。


 「む、聞こえなんだか・・・良かろう、ならばもう一度・・・我輩は覇竜である!名前は・・・」


 「聞こえてるわよ!デカい声で叫ばないでよ!!

 私が聞きたいのは、何の目的があって最上位種のあんたがこんな辺境の片田舎に居るのかって事よ!!」


 ラフタリアに怒鳴られ、覇竜は首を傾げた。


 「我輩がどこで何をしていようが、貴様には関係あるまい?それとも、貴様にとって何か不都合があるとでも?」


 「別に不都合とかそんなんじゃないけど・・・」


 聞き返されたラフタリアが口籠ると、覇竜は可笑しそうに笑い、頭を下げてラフタリアに目線を合わせた。


 「ふむ、なかなか美しい顔をしておる・・・胸はちと物足りんがな!

 まぁ良かろう・・・貴様の美しさに免じ、我輩が何をしているか教えてやろうではないか!!」


 「胸は余計よ!まだまだ成長するんだから!!」


 ラフタリアは涙目になりながら胸を隠し、覇竜はそれを見て笑った。


 「はっはっは!元々エルフ族の女は平たいではないか、何を気にする必要がある!?」


 「平たい言うな!さっさとあんたの目的を教えなさいよ!!」


 「むぅ・・・震えてちびっておった割に、我輩が話しかけると急に態度が大きくなりおって・・・その態度くらい胸があれば我輩の好みだと言うのに、誠に残念である!」


 「やかましいわ!胸は関係ないでしょ!?それに、ちびってないし!!」


 「誤魔化しても我輩にはバレておるぞ?何せ、我輩は鼻が効くからな!!」


 怒りが絶頂に達したラフタリアは、全力で矢を放った・・・矢が放たれた瞬間、近くにあった木が衝撃波で木っ端微塵に吹き飛ばされる。

 風を纏ったミスリルの矢は、周囲にある物を片っ端から吹き飛ばし、凄まじい速度で覇竜の胸に命中した・・・だが、命中したはずの矢は覇竜の鱗により弾かれてしまい、原型をとどめない程に砕け、周囲に飛散していく。

 砕けたミスリルの矢は辺り一面に飛び散り、木々を薙ぎ倒し、人間大の大きさの岩ですらまるで豆腐でも潰すように粉々に砕いてしまった・・・ラフタリアは、その惨状を見て目が点になっている。

 覇竜も目の前で起きたその光景に、言葉が出て来ないようだ・・・。


 「な・・・何よこれ、聞いてないわよ!?あの馬鹿、なんつーもん造ってんのよ!!街の近くでやったら大惨事になるわよ!!?」

 

 飛散した破片の摩擦熱により、抉れた岩の一部から煙が出ているのを見たラフタリアが正気に戻り、城でクリスと話をしているであろう清宏に叫ぶ・・・すると、覇竜は身体を震わせながら笑いだした。


 「ははははは!これは・・・これは素晴らしいぞエルフの娘よ!!

 我輩、産まれてこのかた痛みを知らなんだが、今の攻撃にはチクりと違和感を感じたのである!魔王の一撃を受けても何も感じなかった我輩に、少しとは言え違和感を感じさせるとは・・・これが痛みというものであるか!!娘よ、他にはまだ何か無いのか!?」

 

 覇竜は、初めて味わった痛みという感覚に興奮し、鼻息荒くラフタリアに詰め寄る・・・ラフタリアは覇竜の鼻息により10m程吹き飛ばされ、頭から茂みに突っ込んでしまった。

 茂から、頭から突っ込んだラフタリアの下半身だけが突き出している・・・途中で何かに引っ掛かったのか、ホットパンツがズレ落ちてピンクの下着が露わになっている。


 「ちょっと・・・加減しなさいよ・・・」


 目が回ってしまったのか、ラフタリアはフラフラとしながら茂みから抜け出し、ホットパンツを履き直してため息をついた。


 「むぅ、申し訳ない・・・で、何か他には無いのか!?我輩が気に入れば、褒美を与えよう!!」


 「・・・もし気に入らなかったら?」


 覇竜の提案を聞いたラフタリアは、しばらく沈黙して聞き返した・・・気に入ればということは、その逆の場合に何をされるか確認しておかなければ、後悔する事になるかもしれないからだ。


 「そうであるな、我輩は貴様が気に入った・・・貴様は胸は無いが見た目は美しく、性格は強気で我輩好みである・・・よって、我輩の嫁にする!!」


 「ふっざけんじゃないわよ!!何が悲しくて竜族の嫁に行かなきゃならないってのよ!?」


 「嫌だと言うなら我輩を納得させればよいのである!どうした、逃げるかエルフの娘よ?まぁ、我輩から逃げられると思っておるなら試してみるが良い・・・」


 「むっきー!言ってくれるじゃないの、この馬鹿ドラ!!見てなさいよ、今からあんたをギャフンと言わせてやるんだから!!」


 売り言葉に買い言葉・・・ラフタリアは覇竜の挑発を受けて頭に血が上り、弓を構える。

 だが、ラフタリアは弓を構えた姿勢のまま、そのまま動かなくなった・・・同じ攻撃では納得しないと気付いたからだ。


 「ふふん!どうしたエルフの娘よ・・・何も無いのか?ならば、諦めて我輩の嫁になるか?」


 「ちょっと待ってなさい!今考えてるんだから!!」


 ラフタリアはその場にしゃがみ込み、何か手立てがないか思考を巡らせる・・・。


 「まだであるかー?いくら我輩が竜族で長生きとは言え、あまり待つのは得意ではないのである」


 「ちょっと待って!ステイよ!!あーもう、何か無かったかしら・・・魔法はあいつに効きそうなのは自信がないし・・・ん?魔法?」


 ラフタリアは手に持っている弓を見てニヤリと笑った・・・清宏から聞いていた、もう一つの能力を思い出したのだ。


 「あと少し待ってなさい、今準備するから!!」


 「むぅ、解ったのである・・・早くして欲しいのである」


 アイテムボックスを漁りながら、ラフタリアは何かを探している。


 「どこにあったっけ・・・あの魔法使うの300年振りだから呪文が・・・あった!!」


 「手帳であるか?」


 「そうよ!これには、エルフ族に伝わる風属性最強の魔法が書いてあるんだから!!」


 覗き込んでいた覇竜は、胸を張るラフタリアを見て呆れてため息をついた・・・その目は、完全に哀れんだ目をしていた。


 「エルフの娘よ・・・その様な重要な物は、メモを残してはダメだと思うのは我輩だけであるか?」


 「・・・み、見られなきゃ良いのよ!!

 えっと、どこに書いてたかしら?テンペストケージ・・・テンペストケージ・・・」


 ラフタリアが呪文を確認するために魔法の名前を呟くと、弓にはめ込まれていた魔石が淡い光を放ち始めた・・・だが、検索に集中しているラフタリアはそれに気づいていない。


 「お・・・おい、エルフの娘よ・・・貴様何をした?」


 「ちょっと待ちなさいよ!今呪文を調べてるんだか・・・ら!?」


 覇竜の狼狽えた声で顔を上げたラフタリアは、目の前に現れた10本の竜巻をみて絶句した・・・10本の竜巻は、覇竜を中心にゆっくりとその周囲を回りながら、中心に近づいていく。


 「ちょっと!私まだ呪文唱えてないんだけど!?それに、私の魔力じゃ3本が限界・・・まさか、これなの?またこの弓なの!?」


 「ちょっとヤバそうである!これはかなり嫌な予感がするのである!!」


 弓を見つめているラフタリアに、覇竜が慌てて叫んでいるが、竜巻はその勢いを緩める事なく覇竜に向かって近づいていく。

 テンペストケージと言う魔法は、使用者の魔力量や熟練度によって発現する竜巻の数が変わる・・・最も少ない数で3本、現在までに確認されている最大数でも8本が最高だ。

 この魔法は、複数の竜巻で囲む事で対象の身動きを封じ、風圧によって引き千切り、それぞれの竜巻自体も鎌鼬の様に対象を切り裂く・・・最終的には全てが中心に集まって一つの巨大な竜巻となり、対象を完膚無きまでに破壊する・・・いかに再生能力の高い相手であろうと、再生する間を与える事なく殲滅可能だ。

 テンペストケージは対個、対軍、対城にも効果を発揮するため、エルフ族にのみ伝わる禁術の一つに指定されている・・・他の属性にも禁術に指定されているものが多数存在し、それは人族やドワーフ族など、種族や国ごとに厳重に管理されている。


 「ちょっと待って!止め方わかんない!!」


 ラフタリアは慌てて魔法を解除しようとしたが、止め方が解らずにその場にしゃがみ込む。


 「何と!?いや、待て!これは本当にヤバいのである!!あがががががが!?こ、これが痛み!!我輩の鱗が!爪が!?」


 覇竜は10本の竜巻に巻き込まれ、その身体を守っている鈍色の鱗に深い傷が刻まれ、血飛沫が上がる・・・ラフタリアはその光景をただ見ているしか出来なかった。

 竜巻が消え、覇竜の無惨な姿が現れる・・・。


 「ねぇ、大丈夫・・・な訳無いわよね?」


 ラフタリアが心配して話しかけると、全身傷だらけになっていた覇竜が起き上がった・・・全身から血を流しているにも関わらず、覇竜は笑っているようだ。


 「ぬおおおおっ!痛かったのである!!だが、楽しかったぞエルフの娘よ!?まさか、か弱き者にこれ程のダメージを受けるとは思わなかったのである!!素晴らしい・・・かの魔王ガングートでも我輩に痛みを感じさせるに至らなかったと言うのにな!!」


 「大丈夫そうね・・・それより、ガングートと戦ったってマジなの?」


 ラフタリアは覇竜の無事を確認すると、安心して胸を撫で下ろして尋ねた。

 ガングート・・・それは、この世界で最も有名な魔王の名だ。

 リリスを含め、10柱の魔王の中で最も攻撃的であり、ギルドからSS級として危険視されているのがガングートである・・・現在はリリスの父が勇者に討伐された事で他の魔王達と協定を結び、表立って暴れる事はないが、リリスの父とは長年対立していた魔王である。

 この覇竜はそんな魔王と戦い、生き残っているのだ・・・実力はSS級であると言う事だろう。


 「まぁ、痛みは感じなかったが、全くもって敵わなかったのである!あれは化け物であるぞ!!

 それにしても、見たところ貴様の力はその弓に寄るところがあるようだ・・・神代の武器とは言わないまでも、それに近い性能と見て良いのである!どの様な造りかは知らぬが、とんでもない物を造る者が居たものであるな・・・。

 それがもし魔族が造った物であるなら、神が黙っておるかどうか・・・」


 「ちょっと待って・・・神が黙ってないってどういう意味なの?」


 ラフタリアが尋ねると、覇竜は頷き顔を近づけた。


 「まぁ、噂でしかないのであるが・・・魔神との戦いで現世に存在出来なくなった神は、幽界から地上を監視しておるのは知ってるであろう?

 力を持った魔王が現れれば、勇者もそれに合わせて現れるはずであるが、魔王ガングートがいるにも関わらず勇者は現れておらん・・・それは、ガングートが世界の理を変えるほどの力を持っておらんからと言う話である。

 だが、その弓を造った者が魔族であるならば話は変わってくる・・・神代の武具などは、神や魔神など神と名乗る者が造り出したからこそ強力であるのだから、それを神以外の者が造り出したとなれば大問題であろう?だからこそ、魔族がそれを造り出したのであれば、双方の均衡が崩れ、また勇者が現れるかもしれないのである・・・」

 

 「確かに・・・貴方の話も一理あるわね。

 ありがとう・・・で、満足したかしら?」


 ラフタリアが尋ねると、覇竜は大きく頷き満足そうに笑った。


 「大変満足であった!褒美として、その辺に落ちておる我輩の鱗や爪は貴様にやろう!売るなり素材にするなり好きにすれば良いのである!!」


 覇竜はそう答えると、傷付いた翼を広げてラフタリアを見た。


 「エルフの娘よ、貴様の名は?」


 「ラフタリアよ・・・何というか、あんたの相手は疲れたわ・・・」


 「はっはっは!我輩は非常に楽しかったのである、ではラフタリアよまた会おう!!」


 覇竜は別れを告げて飛び立つと、その巨大な身体からは考えられない程の速度で飛び去った。


 「鱗と爪をくれるって言ってたけど、この量をどうやって運べって言うのよ・・・」


 ラフタリアはため息をついて素材をかき集め、集落に戻って荷車を買い取ると、馬に引かせて街に戻った・・・街に到着する頃には既に陽が沈んでおり、清宏達が迎えが来ていない事を確認した彼女は、夕飯も食べずに宿に戻って眠りについた。


 


 

 

 

 

 

 

 

 

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