第14話従者達の決意
話し合いが終わり、4人は席を立つ。
清宏はリリスにゆっくりと休むように念押しされ、アルトリウスは早速蝙蝠に化けて近隣の町や村への偵察に向かった。
リリは仲間を集めるため、翼を出して窓から飛び立った。
広間に残されたレイスとアンネは、皆の使ったカップやテーブルなどを手際よく片付け、城内に仕掛ける罠や、要注意人物などの話をしている。
「レイス様はスケルトンですわよね?
私の知っているスケルトンは、皆知能が低い者ばかりでしたが、レイス様は物知りで感服いたしました。
やはり、リリス様の従者となった事が要因でしょうか?」
罠に関する説明がひと段落つくと、アンネが目を輝かせてレイスを褒めた。
レイスはアンネに褒められ、頬骨を指で掻き、黒板に文字を書いていく。
(それもありますが、何より清宏様の教えの賜物と言っても過言ではありません。
見ていだだければ解る通り、私はスケルトン・・・アルトリウス様、アンネロッテ様、リリアーヌ様とは違い、眷属としての格も違えば、人骨ではあっても肉や皮は無く、人として不完全でございます。
ですが、リリス様も清宏様もそんな事は気にもとめず本当に良くしてくださいます。
それに、生前の記憶が殆ど残っていない私に名前を付け、仲間として迎え、スキルが得られるかもわからぬ私にも事細かに説明をし、私がスキルを習得した時には我が事のように喜んでくださいました)
レイスは清宏やリリスに対する感謝の言葉を、お世辞にも大きいとは言えない黒板にびっしりと書き連ね、アンネが読み終えれば文字を消し、また書いていく。
(それからでしょうか・・・お2人の喜ぶ顔が見たいと思ったのです。
罠の管理に関しては、清宏様からお褒めの言葉を頂く事もあり、私なりに自信を持って仕事をさせて頂いております。
ですが私は魔力が低く、それ以外ではお役に立つ事が出来ません・・・それが悔しく、気付けば自ら進んで勉学に勤しむ様になりました。
せめて生活面でお役に立とうと思い、炊事洗濯、掃除などを覚えました。
戦力として僅かな助力しか出来ない自分を歯痒く思いますが、それ以外でお2人の役に立ち喜んでいただけるならば、それこそが私の至上の喜びでございます)
レイスはチョークがすり減り、書けなくなるまで書き続けた。
アンネは読み終えると、俯き涙を流した。
「レイス様・・・私感動いたしました!
レイス様のお2人に対する感謝の気持ち、そしてこれからも支えようとされている覚悟・・・私、これ程までに感動したのは初めてでございます・・・。
種族の別や格の違いなど関係ありません、これからも私に色々とご教授願えますでしょうか?」
アンネはレイスの手を取る。
レイスは頷き、新たなチョークで黒板に文字を書く。
(私でよろしければ、是非お願い致します。
同じ女同士、仲良くして頂けたら嬉しく思います)
「はい、こちらこそよろしくお願い致します!」
2人は手を取り合っている。
レイスが女性・・・この事実に、清宏とリリスが気付くのはいつになるのだろうか?
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