第5話 クラスアップ

 リリスが投げ飛ばされた扉の外から、猛烈な勢いで足音が近いてくる。

 清宏は、腕を組んで仁王立ちしながらそれを待っている。


 「きーよーひーろー!!何故妾を投げ飛ばした!?」


 「あぁん?お前が俺をdisったからだろ?」


 2人は眉間に皺を寄せながら喰らい付かんばかりの至近距離で威嚇しあっている。


 「あんなん妾でなければ頭が割れて死んでおるぞ!?」


 「お前以外にはしねーよ馬鹿!!」


 「妾にもするでない!全く・・・そんな事では、いずれ侵入者を殺しかねんなお主は」


 「ちっ・・・ハンセイシテマース」


 清宏は、怒鳴るリリスを尻目に、舌打ちをし、棒読みで謝罪した。


 「心がこもっておらん!はぁ・・・まぁ、良いわい。

 お主の残りのスキルの話を続けるぞ!」


 リリスは大きくため息をつき、話を戻す。

 だが、明らかにイライラしている。


 「ん?まだあんの?」


 「いくつか有ると言ったであろうが!

 全くお主と言う奴は・・・では、お主の残りのスキルについて話そう。

 まず、トラップメーカーの次にお主の役に立つスキルじゃが、アイテムメーカーと言うものじゃ。

 これは、読んで字のごとく生産系スキルじゃな。

 トラップメーカーは罠の製作、設置に特化したスキルじゃが、アイテムメーカーは道具の製作に特化したスキルじゃ。

 トラップメーカーよりも遥かに汎用性が高く、育成次第では、その他の生産系スキルへの派生も多岐に渡る。

 調合・彫金・鍛治・装飾などなど、今後お主の手に入れたいスキルがあるならば必ず役に立つ。

 いずれは城内に設置する宝なども、魔召石に頼らずにお主に生産して貰う事になるじゃろうから、出来ればスキルアップして貰いたい。

 他には生活に役立つ基本スキルで、調理師と言語理解、それとアイテムボックスじゃ。

 説明はいらんじゃろうが、調理師は料理系じゃな。

 言語理解は他種族などの言語、文字などを習わずとも話し、読み書き出来る。

 アイテムボックスは、固有の空間に物を収納出来るスキルじゃが、お主は恐らくまだ何も入っておらんじゃろう。

 今のところはこの5つじゃが、これから先、スキルのランクアップも新たなスキルの習得もお主次第じゃ」


 リリスは説明を終え、清宏を見る。

 清宏は説明された内容を頭の中で整理し、リリスを見た。


 「なぁ・・・アイテムメーカーの場合、素材はどうするんだ?

 素材を手に入れるのにはやっぱり魔召石なのか?」


 「まぁ、そうなるな・・・じゃが、アイテムを召喚する魔召石も大きさによって出る物が違うからの。

 最初お主に見せた魔召石より小さい物もあるんじゃよ。

 そういう物からは素材の召喚も可能じゃし、生成に必要な魔石の数もかなり少なくて済むから心配はいらんよ」


 「じゃあ、侵入者を適度に城内で泳がせてから排除して魔石を手に入れ、そこからお前に召喚して貰えば素材には困らないのか・・・なんか楽しそうだな!」


 清宏のは明るい表情になり、リリスはそれを見て嬉しそうに頷いた。


 「さてと、アイテムメーカーは魔召石使うから無理だろうし、取り敢えずトラップメーカーのスキルがどんな感じか確認してみようかな?」


 「そうじゃな、なら妾が造っておった罠をお主に譲ろう。

 妾には才能が無いらしく、全く役に立たんからの・・・」


 リリスがそう言って手を伸ばすと、肘の先から消えてしまった。


 「おいおい、大丈夫なのか?」


 それを見ていた清宏の顔が引き攣る。


 「何を言っておるんじゃ?これは、アイテムボックスに手を入れておるだけじゃよ」


 「マジか・・・いきなりだったからビビったわ」


 リリスはしばらくアイテムボックスの中を弄ると、中からいくつかの小さな箱を取り出して床に並べた。


 「ほれ、これが妾の所持しておった罠の全てじゃ・・・落とし穴が15個、吊り天井が2個、大岩1個、それと扉なんかを隠蔽する為の壁が3個じゃな。

 数が少ないのは勘弁してくれると助かる・・・」


 「確かに少ないな・・・もっと製作しとけよな」


 「仕方ないではないか!素材は召喚出来たとしても、妾は物を造るのは苦手なんじゃ!

 で、これだけで何とか出来そうか?」


 リリスは清宏に突っ込みを受け、恥ずかしそうに顔を赤らめながら話を続けた。


 「何とか出来そうかも何も、まずこれをどうやって設置せよと?」


 「あぁ、それを教えておかねばならんな。

 本来罠の設置は、妾が見せた様にアイテムボックスから取り出し、設置したい場所でこの小箱から開封して設置せねばならん。

 じゃが、お主の持つトラップメーカーのスキルなら、アイテムボックスの中にあっても、取り出す手間も無く仕掛けたい罠を念じるだけで設置が出来る。

 まぁ、設置したい場所に行かねばならぬのは変わらんが、時間短縮が出来るのは大きいな。

 あと、スキルを持たぬ者よりも仕掛けられる罠の種類や数、製作出来る種類も多いから便利じゃぞ。

 取り敢えず念じるだけじゃし、まずは一つだけそのまま設置してみよ」


 リリスは小箱を一つ清宏に渡し、床を指差した。


 「ふむ、じゃあ早速・・・おぉ、これは簡単だな」


 清宏は、リリスに言われた通りに罠を設置し、満足気に頷いている。


 「収納も念じるだけでよい。

 では、次はこれらの罠をアイテムボックスから直接呼び出し、設置してみよ。

 アイテムボックスも念じるだけで開く事が出来るからの」


 「了解・・・へぇ、一覧が頭の中に浮かぶのか。

 カバン持ち歩く必要無いのは良いな!

 正直、罠よりアイテムボックスの方が嬉しいわ」


 「これ、滅多な事を言うでない!トラップメーカーは誰でも持っておるスキルでは無いんじゃぞ!?

 そのスキルはな、ただ罠を製作し設置するのを繰り返しただけでは発現せん・・・多種多様な罠の特性を熟知し正しく運用するだけでなく、罠同士の連携やアレンジなど、機転が利く者でなければ習得出来んのじゃ。

 レアスキルとまではいかんが、自身のテリトリー内では無類の強さを発揮するスキルなんじゃぞ!」


 清宏の言葉を聞き、リリスは慌てて諌めた。


 「へいへい、実際に罠が必要になるような生活とは無縁だったからな・・・おっ、手に持ってなくても本当に設置出来た」


 「ん?お主は猟師とかでは無かったのか?

 なら、何でお主はトラップメーカーを持っておるんじゃ?

 お主は先程発現した理由は解ると言っておったではないか?」


 清宏が生返事をしつつ、適当に罠の設置や収納をして遊んでいると、リリスが首を傾げて問いかけた。

 清宏は一旦遊ぶのを止め、リリスに向き直る。


 「あぁ、向こうの世界でよく遊んでたゲームが、侵入者を罠に掛けて殺すって内容だったんだよ。

 それで罠の特性や連携とか覚えたし、その繋がりでネットで色々と造り方とか設置方法とか調べたから、たぶんそれが原因じゃないか?

 まぁ、実際に造って設置するのは、向こうの世界では法に触れるからしなかったけどな」


 リリスは清宏の説明を聞いているが、理解出来ていないのかいまだに首を傾げている。


 「げいむ?ねっと?」


 リリスは、聞き慣れない言葉に混乱しているようだ。


 「あぁ、すまんすまん・・・どっちも俺の世界にある物だよ。

 俺の居た世界は、お前みたいな魔族は居なかったし、魔法も無い世界だったんだよ。

 まぁ、俺が知らないだけで存在してたかもしれないけど、少なくとも俺は見たこともないな。

 で、魔法とかが無い代わりに科学が発展しててさ・・・どう表現したら良いのかな?

 例えば、馬や牛の代わりに燃える水で走る鉄の車とか、空を飛ぶ鉄の鳥とか、遠くに離れた人とリアルタイムで話せる道具とかな。

 他にも色々とあり過ぎて説明が大変なんだけど、兎に角そう言った物で溢れてる世界だったんだよ。

 で、ゲームって言うのは一種の玩具で、テレビって言う映像を映す道具に繋いで、その中でキャラクターを操作して遊ぶんだよ。

 まぁ、操作する対象は人型だけじゃないんだけど、その話も長くなるからパスで。

 あとネットって言うのは、例えるなら膨大な情報が収納されている書庫みたいな感じかな?

 調べたい情報がある時に、その内容を即座に得る事が出来る便利な物だよ。

 俺はその2つで罠に対する知識を得たって感じかな?」


 「ふむ・・・なるほど、解らん!!」


 理解の及ばない情報に、リリスは考えるのを止めた。


 「まぁ、言われたって簡単には理解出来んわな・・・俺もお前が魔王だとか、スキルだとかいまだに頭が追いついてないからな!」

 

 「その割に平然としとるな?」


 「なっちまったもんは仕方ないからな・・・悩むより慣れろだ!」


 明後日の方向を見ながら清宏は拳を握りしめている。


 「お主は逞しいな・・・で、どうじゃスキルを使ってみた感想は?」


 「んー・・・あのさ、このスキルって設置したい場所に直接行かないとダメなんだよな?

 これだと、侵入者がいる時には設置や回収するのが難しいと思うんだよなぁ・・・どうするかな?」


 清宏は、頭を掻きながら解決方法を探っている。


 「ふむ、それなら妾のスキルで解決出来るぞ?

 ほれ、さっき妾が戻って来た扉を開けてみ?」


 「ん?何なんだよ、どうせ廊下だろ・・・」


 清宏は愚痴を言いつつ、リリスに言われるまま扉の前に行くと、扉を開いて動きを止めた。


 「どうじゃ、驚いたか?」


 「いや、どうなってんのこれ?」


 清宏が聞き返したのも無理はない。

 彼が開いた扉の先は廊下ではなく、ただの部屋になっていたのだ。


 「ふっふっふ・・・これが妾のスキル、ダンジョンマスターじゃ!!

 このスキルは、城やダンジョンの内部面積より広くは出来んが、その条件さえ守れば、内部の部屋や廊下、階段などの配置や構造を、城主である妾の意のままに変更出来るスキルなんじゃよ!!

 しかも、頭の中に城内のマップが表示され、侵入者の居場所もリアルタイムで解る優れ物じゃ!!

 このスキルさえあれば、わざわざお主が罠を設置したい部屋まで行かずとも、その部屋をこの扉の外に移動させれば良いでだけであろう?」


 リリスは得意満面である。


 「凄え・・・なぁ、俺もそのスキル手に入れられるのか?

 お前に頼むのも良いんだけどさ、侵入者が城内で何組かに別れた時とか、臨機応変に対応しなきゃならない場合、お前に頼んで配置を変更してもらうより、俺の判断でやった方が効率的だと思うんだよ」


 清宏が聞き返すと、リリスは渋い顔で彼を見た。


 「いやぁ、それは無理じゃと思う・・・。

 このスキルは、魔王の住まう城であったり、魔物の巣食うダンジョンの主にしか発現せぬスキルなんじゃよ。

 取得条件自体も魔王城かダンジョンの作成もしくは支配となっておるんじゃが、言わずもがな、魔王城は魔王でなければ造れぬ物じゃし、ダンジョンであっても、強大な魔物の体内から漏れ出す無尽蔵とも言える魔力が無ければ到底維持は出来ん。

 仮に人間がダンジョンを維持するとなれば、並の魔術師10人で半日保つかどうかじゃろうな・・・」


 それを聞いた清宏は、見るからに落胆している。


 「はぁ、良い考えだと思ったんだけどな・・・出来ないなら仕方ないよな」


 落胆している清宏を見て、リリスも落ち着かない様子で彼の様子を見ている。


 「なぁ、清宏よ・・・一つ聞くが、お主は何があろうと決して妾を裏切らぬと誓えるか?」


 しばらく心配そうに清宏を見ていたリリスは、俯いている彼の顔を覗き込み、真面目な表情で問いかけた。


 「裏切るも何も、一連托生だろ?

 俺はお前と城を守る・・・約束を違えるつもりはないよ・・・なんだよ、今更再確認か?」


 清宏の答えを聞いたリリスは、満足気に深く頷くと、優しく微笑んだ。


 「裏切らぬと誓うならば、お主を妾の副官としようと思っておる。

 本来副官に任命するのは、配下の中でも特に忠誠心があり、実力のあるものとされておる・・・。

 じゃが今の妾には、仲間と呼べる者はお主しかおらぬし、お主は自分の世界に帰るという目的の為ならば妾を裏切る事は無いであろう・・・よし、妾はお主を信じ、副官を任せよう!」


 「いやいや、今の流れでなんで副官の話に飛ぶ!?」


 清宏は慌てて聞き返したが、リリスは今もなお優しく微笑んでいる。


 「魔王の副官とはな、他の配下達とは違い、主人である魔王の所持しておるスキルから、1つだけじゃが下賜される権利を得られるのじゃよ。

 我々魔王の持つスキルというのは、努力だけでは習得出来ぬ物が非常に多く、それらの内1つだけでも手に入れられるということは、配下としては何より光栄なことなんじゃよ。

 本来は配下から選べる物では無いのだが、お主の場合は妾の配下ではなく協力者じゃ。

 お主を巻き込んでしまった償いには到底足りぬと思うが、妾のダンジョンマスターのスキルをお主に譲ろうと思う。

 この貴重なスキルを譲るからには、これから先、お主には何が何でも頑張って貰うからの?」


 清宏は驚きリリスを見ると、彼女は満面の笑みを浮かべていた。


 「解った・・・必ず役に立てててみせるよ」


 「では、妾の前に膝をついてくれ。

 妾とお主では、身長が違いすぎて頭に手が届かんからの!」


 清宏はリリスに言われ、彼女の前に膝をついた。

 清宏の頭上に、小さな手の平が掲げられる。


 「さて、終わりじゃ!特に何も起きなかったからといって、つまらんとか言うなよ?」


 「本当に何も起きなかったな・・・もっとこう光ったりとか何かしらあるかと思ったんだが・・・でも、何かが流れ込む感覚はあったからスキルは譲渡されたんだろ?

 まぁ・・・何はともあれ、ありがとうな!」


 清宏はリリスに礼を言うと、拳を突き出した。

 彼女はそれを見てキョトンとしていたが、意味を察し、突き出された拳を自分の拳で軽く突いた。


 「ん?ちょっと待ってくれ・・・頭の中に何か変な音が響いたんだが?」


 清宏はそう言うと、小指で耳をほじくり返しながら辺りを見渡した。


 「それは、鈴の様な音か!?」


 リリスが慌てて聞き返す。


 「あぁ、何かそんな感じだったな。

 一体、あれは何の音なんだ?」


 「スキルのクラスアップの音じゃ!ちょっと待て、今確認してやる・・・」


 リリスは先程と同じく清宏の目を見つめてスキルの確認を行うと、その場にへたり込んだ。

 清宏はそれを見て慌ててリリスの身体を支える。


 「おい、どうした!?」


 清宏は抱きかかえたリリスに問いかけるが、彼女は呆れたように笑っている。


 「清宏、お主のトラップメーカーじゃが・・・トラップマスターにクラスアップしとった」


 「は?それがどうかしたのか?」


 清宏は、理解出来ずに首を傾げる。


 「トラップマスターというスキルはな、現在10柱おる魔王の中でも、ただ1人しか所持しておらぬレア中のレアスキルなんじゃ・・・とんでもない物が現れおったぞ!

 あれか、ダンジョンマスターがクラスアップの鍵じゃったのか!?」


 「あのさ、俺にも解るように説明プリーズ」


 清宏は、頭を抱えて悶えるリリスを座らせると、彼女の肩を掴んで問いかける。

 すると、リリスは弱々しく口を開いた。


 「今クラスアップでお主に発現したトラップマスターと言うスキルはな、今迄にも何度か確認自体はされておったスキルではあるのじゃ・・・。

 じゃが。現在では妾と同じ魔王・・・鉄壁のダンケルクという者しか所持しておらん超希少スキルなんじゃよ。

 このスキルの何が卑怯かと言うとな・・・今いる場所から動かずとも、罠の作成・設置・回収が可能であり、設置した罠の仕様変更なども遠隔操作で思いのままと言う点なんじゃ。

 さらには、ダンジョンマスターと組み合わせ、侵入者の場所を全て把握出来るのならば、神出鬼没の罠を仕掛け放題の敵無しなんじゃ・・・。

 今のお主と同じく、この2つのスキルを所持しておるダンケルクという奴は、お主を召喚する前の妾と同様に、たった1人で城に篭っておるぼっち魔王なんじゃ。

 じゃが、妾と奴の大きな違いは、奴の城は何者をも寄せ付けぬ難攻不落・・・過去何度も奴を討ち取ろうと討伐隊が結成され城への侵入を試みたが、只の1人も生きて戻ってはおらんという点じゃ。

 誰1人奴のもとへ辿り着く事無く、皆奴の仕掛けた罠に掛かり死んでいったそうじゃ。

 奴のスキルにより最も多くの死者が出たのは、今からおよそ1200年前、現在では既に滅んでおるのじゃが、当時奴の城に最も近い場所にあった国の討伐隊10000人程じゃ。

 討伐隊に参加した兵は皆精鋭揃いで、その全てが最上級とも言える魔道具一式で身を固め、万全の体制で奴に挑んだ・・・だが、城門を閉ざされ退路を断たれたとは言え、それが僅か一夜にして全滅してしもうた。

 従者もおらぬたった1人の魔王討伐に対し、装備を考慮せずとも正に破格の人数であったが、それが奴の所に辿り着く事も出来ず、たったの一夜で全滅じゃぞ?

 凶悪なスキルである事は容易に想像出来よう・・・。

 ダンケルクと言う魔王は、当時最強とまで謳われておった妾の父が、こちらから攻めさえせねば脅威ではないが、最も敵に回したくない相手とまで言っておった男じゃよ・・・。

 トラップマスターは、今までダンケルク以外にもそれ以前の何人かの魔王が所持しておったが、スキルの秘匿や習得方法を開示せぬ者ばかりで、考察はされていても、他の魔王達はスキル発現には至らなかった・・・。

 それはそうじゃ、自身のテリトリーに居る限り負ける事が無く、攻めて来た敵を一方的に虐殺出来るのじゃからな。

 そんなスキルを持っておったら、絶対に発現方法など漏らしはせんだろう。

 仮にダンジョンマスターが発現の鍵であるならば、トラップメーカーを所持しておらぬ限り例え魔王でも発現せぬ。

 それに、いくら信頼出来る副官がトラップメーカーの所持者であろうと、まさかダンジョンマスターを譲渡しようとは思わんだろうしの。

 妾はまだ未熟ゆえ、スキル補正が有っても他の魔王達に比べてかなり弱いのじゃが、本来魔王というものは他の同族よりも遥かに強大なんじゃ・・・自身で罠系スキルを習得せんでも力付くでどうとでもなってしまうから、習得する必要が無いのじゃよ・・・。

 はぁ、驚き過ぎてなんかどっと疲れたわい・・・」


 語り終わったリリスは脱力し、力なく笑い続けている。


 「まぁ、何だ・・・よく解らんが、チートスキルゲットだぜ!」


 そんな中清宏は、反応乏しいリリスを尻目に、高らかにガッツポーズをしていた。


 

 

 



 


 

 

 

 

 


 

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