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一体どれだけ飲んだのか、なんだか頭が痛い気がする。
「全くバカじゃないの、二日酔いで家に帰るつもり?」
「いいじゃん、父さんと晩酌出来たんだし、これも親孝行だって」
「本当に親孝行するつもりならこれ以上無茶な飲み方は辞めなさいよね」
「ぐ」
ごもっともな意見にぐうの音も出ない。身体が第一だもんな。反省しまーす。
「反省の色が見えないわね。父さんと一緒。泡盛は飲まないって言っていたのに、この間本家に行った時に貰っていたのね」
まったく、と言ってため息を吐く。まぁでも記憶が無くなると言っても父さんが泥酔してどうしようもなくなった姿を見たことはない。
「父さんはね、あれでも恰好つけなのよ。だから無意識にこれ以上ダメだと思ったら即寝ちゃうの。あんたと母さんにダメな姿を見せたくないのよ」
なるほど、だから見た事がなかったのか。
「それくらい母さんのことがまだ好きなんだね」
長く一緒に居てもまだ格好よく見られたいって事でしょ?
「まだって何よ」
んっ。てっきり半笑いで返されると思ったのに予想外の反応にこっちが戸惑う。
「当たり前でしょ」
お、おぉ・・・
「と言うよりきっと癖みたいなもんよ。長年そうやって来たから」
母さんに格好つけることが?
「身体が自動的に覚えているのよ。ここまで飲んだら寝るってね」
そっちね。
「ちなみにあんたもだからね。知らないと思うけど」
「え、嘘だ」
「だからこんなことで嘘を吐いてなんの得があるのよ。父さんとあんたはそっくりよ」
えーそうかな。俺あんなに無口で無愛想で仕事ばっかりしているかな。
「してるじゃない」
・・・親子、だからね。似るのは仕方ないか。でも父さんみたいになれるなら、そんな年の取り方もいいかもしれない、なんてね。
「良いから早くあんたも寝なさい」
「はーい」
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