第4話 さぁ、猟の時間だ
さて、どうしたもんか……こっちにあるのは少し錆びたカッターナイフ。
あっちは鋭い爪に牙ときた。どう考えてもあっちのゴブリンの方が有利だよな。
「けど、どの道やらなきゃだよな。」
……ゴブリンをやるなら一撃で殺すしかない。このカッターナイフで一撃で殺るなら……喉の部分にカッターナイフの先を突き刺すかしないか。
「ねぇ、あの緑色の化け物なんだけどさ。もしかして目が悪いんじゃないの?」
「どう言うことだよ?」
「だから、さっきから何回か私達の方に目線を向けてるけど一度も私達に気づいてないよね?」
確かに、何回か顔を出してるときにこっちを見てるけど一度も見つかってない。
確かに校舎は薄暗くなってきてる、けど見えないってほどじゃない。
「……なら殺れるかもしれない。」
あまり目が良くないのなら……。
「詩音お前はここで待ってろ。」
「え、だけどあっちは二匹だよ?わ、私にも何か出きることが」
「ない。だから、ここにいろ。」
言い聞かけるように俺は少し強めに言葉を放った。
「……死んだら恨むから。」
「わかった。じゃ、行ってくる。」
そう言って俺は勢いよく飛び出した。
ゴブリンまでは約二十メートルほど、目が見えづらいなら反応が一瞬遅れる。それならゴブリンが気づく瞬間に!
「ヴギィ?」
若干近くにいた方のゴブリンが振り向いた瞬間に喉元に走りながらカッターナイフを突き出し刺し入れた。
「ヴバギバァァァァ」
喉元に刺し込んだまま廊下をかけ向けもう一匹のゴブリンから十メートルほど距離を取ってカッターナイフを引き抜いた。
その瞬間、ゴブリンの喉元から勢いよく流血して緑色の血が吹き出た。
「も・一匹!」
振り向きもう一匹のゴブリンの方を向いた。
しかし、もう一匹のゴブリンはいつの間にか俺に飛びかかってきていた。
「ッチ!」
なんだよ、その瞬発力は!十メートルはあったはずだろ。その距離を一瞬にして埋めてきた、しかもこのままだと押し倒されて!
「させない!!!!」
ゴブリンが俺の目の前まで飛んでに来た瞬間、詩音が後ろからモップのようなもので頭部を思いっきり殴り付けた。
「お前何で!」
て、そんなこと言う前にこいつを!
殴り付けられたゴブリンは顔面から床に叩きつけられピクピクと痙攣している。
「………」
カッターをゴブリンの喉元に突き付け、一度引いて振りかぶって突き刺した。
「ハァ、ハァ、ハァ、何で!お前、出てきたんだよ。」
「と、とっさに体が動いちゃったのよ!千鳥が危ないと思って。」
確かにあの瞬間ゴブリンにのし掛かられてたら死んでたかもしれない、けど!
「それだって危険だろ!」
「うるさい!私だって守られてるだけは嫌なの!」
昔ッからそうだ!こいつは幼なじみで腐れ縁で意地っ張りで無関心でいるといつもちょっかい出してくる。
「……私にも背負わせてよ。さっきは守ってねって言ったけど、私だって自分の命くらい自分で責任をとる。」
「……はぁ、わかったよ。もう……」
話を切り上げようとした時、ふとゴブリンの方を向いた。
………俺は初めて知ってしまった、殺したと言う言葉の本当の意味を。
「ウ、ヴェェェェェ。」
ゴブリンの死体を見た瞬間吐き出してしまった。人の死体を見たときは吐き出さなかった、けど知ってしまった。
殺すと死ぬの違いを。
例えば、病気で死んだ人間がいたとする。それは病気で死んだのであって何かに命を奪われたのではない。
しかし、この殺すと言う事は他人に命を奪われることなのだ。
つまり、俺が何かを殺し命を奪ったと言う事実を俺は今初めてしった。
ようこそ絶望と言うなの異世界へ フクロウ @DSJk213
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★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 3話
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