【詩】慟哭
田中ビリー
【詩】慟哭
波飛沫に跳ね廻る、空が溢した揺れる黄金、
星々ならもう眠りについて、いまはたぶん、
生きとし生けるすべてのものから目を逸らそうと離れゆく、
群れ群れから去れ、狗はもう此処に居ぬ、
爪先から伸びる影の長さがいまも、遠ざかる日々を思わせ、
リヴィンストンの冒険譚と、作者不明の航海記を交互に読んで、
高鳴らせた胸なら今はもう、静かに凪いで揺れることを忘れてしまった、
雷鳴るのを待っている、それはほんとに素敵な合図、
何もかもの終わり始まる、想像だけで心は跳ねる、
炎上したパイプラインと夜に弾けたタンカーの、
火力を見比べるのが好きな、
問題抱えた子供だったと聞かされた、
いまでもそれは変わらないけどわざわざ誰かに話すほどのこともない、
欲しいものは金属製の魂だけだと想う今、
心は不要と気づいてしまった、
ランチプレートに載っているのはナイフが2本、
右眼に現金輸送車の、ナンバー幾つか印字した、
ゴール焦がしたボードゲームのルーレットには昨日の薬莢震えてた、
サンドバッグにナイフを投げて、洗いざらいを吐き出させたら、
欲しいものは金属製の魂だけだと想う今、
心は不要と気づいてしまった、
【詩】慟哭 田中ビリー @birdmanbilly
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