補習5 ウイルスバスターズ(コンピュータウイルスとセキュリティ1)
ハヤト「ハアハア、やっと入れてもらえた……あれ?誰?」
稲田「本日解禁。皆大好き眼鏡女子、な稲田さんよ。あの鬱陶しい舞踏会眼鏡とおさらばできてとても快適だわ」
ハヤト「本当にお疲れさまでした。では今日は帰宅させてもらいます。『ウイルスバスターズ』のコンピュータウイルスとの闘いで疲れてますんで……」
稲田「(ハヤトの首根っこをつかんで)お待ちなさい。帰さないわよ。今回は、そのコンピュータウイルスのお話をするのだから」
ハヤト「やっぱりこうなるのか……(潔く席に座る)」
稲田「まずはコンピュータウイルスってそもそも何なの?ってことなんだけど」
ハヤト「パソコンやスマートデバイスに感染して停止させたり暴走させたり、乗っ取られたり、いろいろな悪さをするもの、ですよね?」
稲田「よくできました……と言いたいところだけど、それはマルウェアの定義ね」
ハヤト「マルウェア?」
稲田「あなたの言ったような、『不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコード』のことは、全部ひっくるめてマルウェアっていうの。文字通り、悪意のある(Mal-icious)プログラム(Soft-ware)。作者的には、小説では通りが良くて読者が馴染んでいそうな言葉として、広義の意味でのコンピュータウイルスっていう言葉を使ってるみたいだけれどね」
ハヤト「じゃあ、本当のウイルスってどういう定義なんですか?」
稲田「ウイルスはマルウェアの種類の1つ。他のプログラムの一部を書き換えて悪さをする、感染機能や自己拡散機能を持つもの、かな」
ハヤト「感染、自己拡散……今回メイドロイドやメインコンピュータ、最後はマザーコンピュータまで、どんどん感染していったのを思い出します」
稲田「でも、あれは仕組みによっては、ウイルスではないかもしれないのよ。ワーム、かもしれない。」
ハヤト「ええっ、さらに俺と読者を混乱させるようなこと、言わないでください」
稲田「秋津君、落ち着きなさい。ワームっていうのは、マルウェアの種類の1つで、ウイルスと同じで感染、自己拡散するものなんだけど、ウイルスと違って単独で存在できるプログラムなの、そこだけの違い」
ハヤト「なるほど、やってることは同じだけど、メイドロイドのシステムプログラムを改変して悪さするウイルスか、メイドロイドのシステム上でプログラムとして動き悪さするワームか、の違いってことですかね。でも、そんなこといわれても、この小説の描写じゃ見分けつかないですよ」
稲田「2つの違いを小説で描写するとなったら、ハッカー同士のクラッキングバトル!であるとか、量子化してシステムの中に侵入して戦う!とかじゃないと厳しいわね。まあ、現実世界でも両方の性質も持つマルウェアもあったりはするから、違いに拘るのはナンセンスかも」
ハヤト「とりあえず、例によって2018年あたりの日常生活では、変なウェブサイトを見ないようにするとか、セキュリティソフトで監視するとか、OSのシステムアップデートするとか、気を付けてれば、どっちにも感染なんてしないですよね。他の補習でも言ってましたし」
稲田「何言ってるの!?」
ハヤト「(あれ、何か間違った……?)」
稲田「……確かに、マルウェアの感染源としてウェブサイトに注意するのはいいことだわ。ページを見ただけで感染するマルウェアもあるしね。」
ハヤト「そ、そうですよ!」
稲田「OSのシステムアップデートも前に言ったように、マルウェアが利用するシステムの穴(脆弱性)を塞ぐという意味で有効、セキュリティソフトはマルウェアの感染防止だけじゃなく、感染確認・駆除もしてくれるから、入れておかない手はない」
ハヤト「ですよ!(メッチャ復習すぎる)……というか、ということは、何か足りないんですか?」
稲田「例えばそうね、秋津君、知らないメールアドレスからメールが来たらどうするかしら、名前は弥生睦月さん、タイトルは『お願いがあります……』、そして『私の写真』という名前の添付ファイルがついている」
ハヤト「お、俺は……男として開くしかないんですよね?!開いてもいいんですよね?開きます。添付の写真可愛いといいな~」
稲田「はい、アウト……っていうか、アナタ節操無いわね!」
ハヤト「か、彼女いない歴=年齢ですから……許してください。うわ、何か変なプログラム動いてる!メ、メールやばすぎ!!」
稲田「身をもって体験してもらったけれど、そのとおり、メールの添付ファイルにマルウェアが埋め込まれていたり、メールの本文を見ただけで感染したりすることはあり得るの。メールアドレスを確認して、身に覚えがないのであれば、中身を見ないでメールごと削除するのがいいわね」
ハヤト「知らない人からのメールは注意っと(メモメモ)」
稲田「ではもう一つ、秋津君に、委員長のミキさんからメールが来ました。タイトルは『業務連絡』、添付ファイルは『宿題.exe』」
ハヤト「これは開いていいんですよね?委員長は知ってるし、本文は大丈夫そうだな。宿題ってどの教科だろ?……ウギャア」
稲田「ツーアウト!知人のメールでも、油断してはダメ。その人のパソコン等が既にマルウェアに感染してたら添付ファイルにマルウェアがついて来る可能性も無くはないから。特に『.exe』みたいな押したら実行されちゃうプログラム形式のファイルは要注意!」
ハヤト「委員長、なんてことだ……今度こそ、よくわかりました……でも、これだと知り合いの添付ファイルが受け取れないことになりませんか?」
稲田「メール添付ファイルのマルウェアスキャンを行ってくれるサービスを利用するという方法があるわ。感染したメールはシャットアウトできる。ちなみに、セキュリティソフトでもメールの添付ファイルに対応した機能を持つものがあるから、こちらを利用する手もある」
ハヤト「メールの注意事項、メモしました。しかし、こうしてみるとパソコンやスマートデバイスに繋がるものって全部注意が必要ですね、油断できない」
稲田「そうねえ、例えば先日没収したコレとか(サラリと一枚のディスクを取り出す)」
ハヤト「そ、それは……俺がミコトから借りた……」
稲田「中身については、アナタの名誉のために言わないけれど、これも感染してたわよ。スリーアウト!」
ハヤト「試合終了ですか……」
稲田「ネットワーク中心にこれまでは見てきたけれど、こういったディスクのような媒体経由でも感染はあり得るから注意すること。」
ハヤト「ところで、それ、やっぱり、返してもらえないんでしょうか……?」
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