補習3 日常はどこへいった(位置情報とセキュリティ)

ハヤト「俺が目覚めると、そこは、教室だった……」


謎の女性X「人に言われるくらいなら、自分で言うってことね。では、今回はもうさくっと始めさせていただくわ。『日常はどこへいった?』では、フリーネットワークの黒服に家に押しかけられて、たい……ヒミコさんの車で逃げた末、黒服は一網打尽にできたけれど、なぜか自分も捕まってしまったハヤト君でした。これ、『目覚めたら独房だった』が正しいんじゃないの?」


ハヤト「いいんですよ、ここは特別な時空らしいですから」


謎の女性X「特別な時空……そうね、ここじゃ位置情報も取得できないかもね」


ハヤト「位置情報?」


謎の女性X「今回のお話で、ヒミコさんの『ネットワーク経由で位置情報の追跡を受けていると見るのが自然だな』って台詞覚えてないの?」


ハヤト「正直、発信機とりつけられてたのか!?って自分の体触り触りしたくらいで、あんまり気にしてなかったんですが……」


謎の女性X「ちょうどいいわね、車とセキュリティだとこの前のIoT(モノのインターネット)と被っちゃうから、今回のテーマは位置情報とセキュリティにしましょう。あら、タイトルにももう書いてあるわ、まあ、びっくり!」


ハヤト「わざとらしすぎですよ……」


謎の女性X「コホン、では進めます。そもそもアナタは位置情報って何か知ってるのかしら?」


ハヤト「発信機にしろ何にしろ、その端末の位置が記録されるものですよね?」


謎の女性X「そうね、2018年あたりだと、その情報を利用して、目的地までの経路や距離を確認できたりとか、近くのおすすめのお店の情報を検索できたりとか、写真をとった場所を記録できたりとかに利用されている」


ハヤト「そういえば自分のやってるゲームも現実の特定の場所でしか出会えないモンスターとかいたなあ、あれも位置情報使ってそうですね。位置情報万歳!」


謎の女性X「……平和ボケね」


ハヤト「えっ!?」


謎の女性X「位置情報、すなわちGPSは、もともとは軍事用に作られたもの。本来はミサイルを誘導して正確に目的に攻撃するためのものよ」


ハヤト「そうなんですか?」


謎の女性X「GPSには、時間の補正のために、アインシュタインの一般相対性理論、特殊相対性理論の両方の考え方が使われていてね……」


ハヤト「そのくらいでお願いします……凄そうなことはわかりましたが、理解できる気がしないです」


謎の女性X「おっと私としたことが、脱線脱線。つまり、……ばんばん自分の位置情報を流すのはセキュリティ的にリスクがあるってことよ」


ハヤト「いきなり核心にきましたね。でも、位置の情報だけで普通何かできるとは思えないんですが、フリーネットワークはさておき」


謎の女性X「想像力がないわね……例えば、好きなアイドルの居場所がいつでもわかるようになったらどうする?」


ハヤト「それは……会いに行っちゃうかもですね、男として!」


謎の女性X「そういうことよ、アイドルや有名人だと居場所がバレちゃったらストーカー被害にあう可能性が高いし、一般人でも住所が特定されたら何されるかはわからないわね」


ハヤト「俺ストーカー扱いですか……」


謎の女性X「逆に自宅にいないことがわかれば、空き巣に狙われることもかもしれない。単純な情報ではあるけど、取得される方は、位置情報が第三者に渡った場合のリスクについても理解しておく必要があるということ」


ハヤト「むー、自分の端末の位置情報は切っておいたほうがいいのか……」


謎の女性X「ハヤト君、リスクだけじゃなくて、最初に話した位置情報の素晴らしい点も考慮したうえで、適切に設定するように。君の場合は、例えば、フリーネットワークにつかまって、位置情報で確認して救出されるという展開があるかもしれないし」


ハヤト「やっぱり俺結局捕まるんですかね……」

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