ウィーク・ポイント
サクラが周りの敵を片付けている間に、トモエも復活を果たした。
そこからの、サクラとトモエのコンビネーションは凄まじかった。
サクラがタケミナカタを敵の一群の中で振り回し分断すると、トモエが一体ずつ、アメノムラクモで片付けてゆく。剛のサクラと柔のトモエは相性が良いようだった。
「いいぞ、トモエ、サクラちゃん。可愛いし強い。フェアリーズと命名して売り出すか」
シズカが勝手にコンビ名を決めているその横で、唸っている男がいた。
「うーん……」
「どうした新入り?」
「敵の数が、減ってないって思いませんか?」
そうなのだ。あれからしばらく経過しているが、一向に戦闘が終わる気配が無い。
「ほら、見てください、あそこの一体、トモエちゃんに止めを刺されたはずなのに、起き上がろうとしてます」
「本当だ……どういうことだ。ウイルスが駆除されなかったってことか?」
「もしかすると、シヴァ……なのかもしれません」
「その話、少し聞かせてもらえないかしら」
急に回線に割り込みが入った。この声はククリだ。
ハヤトは、少し躊躇いながらも、あの夜、あの男が語っていたことを、全員に向かって説明した。
「つまり、あの青いロボットの群れは、一体一体ではなく、全体で1つのシステムとして書き換えられてしまっているということね」
流石ランクSSS、理解が早い。
「そうだと思います。だから一体を倒してもまた書き直されて再起動されてしまっているんじゃないかと……」
「やっかいね、そうなると倒しようがないじゃない……」
確かにククリの言うとおりである。
全てを一気に倒すことができれば、とも考えたが、あの数だ。サクラとトモエの力をもってしてもそれは不可能というものだ。
しかし、本当に他に方法はないのだろうか……ハヤトは、外の戦闘を子細に観察しながら考える。サクラを戦わせてしまっているのだ、自分はその分考えることをやめてはいけない。
「?……あれ……」
ハヤトは、青いロボットの群れの動きにかすかな違和感を感じた。
間違いかもしれないと、しばらく見続ける。
そして彼は確信した。
「ヒミコさん、回線借ります!」
「あ、ああ構わないが、何をするんだ?」
「この戦いを終わらせます……聞こえるか?サクラ」
「うん、ばっちりだよ、お兄ちゃん。でもサクラそろそろ電池がきれちゃうかも……」
あの止まってしまった日以降、ハヤトはサクラに、止まりそうなことがわかったら早めに自分に伝えるようにと言い含めていた。
最近は、念のため、あの箱の中で眠るようにしていたから忘れてしまっていたが、ここで電池切れはマズい、かなりマズい。
もし自分の考えが間違っていたら……そんな弱気な考えが頭を過りはしたが、ハヤトはかぶりを振って続けた。自分を信じなくてどうするのか!
「今から俺の言う敵を狙ってくれ。必ず一撃で倒すんだぞ」
「わかったよ、お兄ちゃん」
「トモエちゃんもいいかな?サクラと協力して、そいつを確実に動かないようにしてくれ」
「了解……トモエは……お前の指示に……従う」
「よし、2人とも、では、19の数字の入ったやつを撃て!今サクラの右前方にいるっ!」
その指示が下ると同時に、サクラは跳躍した。上から目標を探すのだろう。そして、ロボットの群れを踏みつけつつ、何度か飛翔した結果、当たりをつけたらしかった。
「お前だな……くらえーっ!」
空中から、急降下してパンチを繰り出す。
直撃!
しかし、……。
「他のロボットが、……19のヤツをかばった?」
言ったシズカも他のメンバーも驚きを隠せなかった。しかし、その中で独り異なる反応のものがいた。
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