まさかの仕様変更か!?
「サクラ何するんだ……?!」
自分がさっきまでいたところにしゃがんだ人影があった。
床につきたてていた拳を抜くと、左右に振るう。元床だった破片がボロボロと落ちている。
「メイドロイドなのか?」
明らかに人と同じサイズに、銀色のぴったりした服、胴腕脚はサクラと同じようなプロテクターで保護されている。
髪の毛は銀色で、サクラよりは短く切りそろえられたショートヘア。
しかし、こちらを振り向いたその顔、その目にはサクラと異なり生気はなく、ハヤトにとても冷たいものを感じさせた。
「マザーヘノ不正アクセス者ヲ発見。排除スル」
そのままハヤトに向かってくる。「お兄ちゃんはやらせないよっ!」とサクラはその前に立ち塞がると、拳をたたき込む、が、苦も無く片手で捌かれて、体勢を崩したところを右脚で横から強打され、壁に向かって吹っ飛ばされた。
「サクラ!」
「いたたた……よくもやったな-!」
サクラは、立ち直ると、今度は宙に飛び、上から回し蹴り。
しかし、これも片手で苦も無く受け止められ、そのまま脚をつかまれた状態で振り回されてしまい、またもや逆の壁に叩きつけられた。
「ごほっごほっ……お兄ちゃん、こいつつよいよー」
「よくもサクラを!」
ハヤトは弓を放った。
しかし、放たれた矢は、相手を捕らえることはなく、床に突き刺さり、シュッと消えた。
「か、躱された」
2本目、3本目、続けて放つがいずれも敵には届かない。
前述のとおり、ハヤトには弓道などの経験は無い。
しかし、狙ったところにまっすぐ飛んでいくというこの矢の特性と、彼自身の持ち前のゲームで鍛えた反射神経で、ここまでの道中のロボットには命中させることができていたのだ。
だが、目の前の敵メイドロイドは恐ろしく素早く、これまでとは勝手が違った。
4本目を放った後、ハヤトは目を疑い5本目を撃つことができなかった。なんと、かの敵メイドロイドは、4本目の矢を手刀でたたき落としたのだ……。
「そんなのありかよっ!」
「お兄ちゃん、サクラも戦うよっ!」
戦意を喪失しそうになったハヤトを気遣ってか、サクラが元気よく叫んで、敵に飛びかかっていく。
両手両足全身全てを使って連続攻撃。しかし、敵はそれをいずれも紙一重で躱すと、サクラに右脚で一撃を加えようとした。
「それを待ってたよっ!」
「サ、サクラ!」
サクラは両手で敵の右脚をつかんでいた。
敵が体をひねって左脚で彼女の頭に蹴りをいれても、健気なことに、怯む様子も見せなかった。
「イタくなんかないよっ!。お兄ちゃん今だよ!」
ハヤトは矢を弓につがえると、敵メイドロイドに向かって放った。
矢は狙い通りに動けない敵の胸に突き刺さり、その動きがピタリと止まった。
「やったか?」
「終わった……の?うわっ!」
敵が思い出したかのように、急にその体をひねった。少し気が緩んでいたのかもしれない、サクラはつかんでいた右脚を離してしまい、自由になった敵は飛び退いて着地した。
「矢が効かないなんて」
今対峙している敵メイドロイドの数倍の大きさを誇るロボットですら、一撃加えることで動けなくできた代物が、通用しない現実をハヤトは呪った。
避けていたことから、当たればこっちのものだと思っていたのに。
「お兄ちゃん!」
考え事をしている間に、目の前に敵が迫ってきていたらしい。
ハヤトは一瞬観念して目を閉じたが、ガシッという衝撃音に目を開けると、サクラがその手で敵の攻撃を防いでいてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます