第18話
「――とりあえず駅前に来たんだけど」
「さすがに4人一緒に行動して8人を探すのは非効率かもしれませんわね」
「じゃあ二手に分かれて探そうか~」
「組み合わせはどうするの?」
――話し合った結果、希ちゃん美里先輩チームと私と奈津美ちゃんチームに別れて探す事になった。
「それじゃあ集め終わったらここに集合という事で」
「4人づつ探す感じだね~」
「別に希達だけで全員見つけても問題ないんでしょ?」
「そうですわね。それではどちらが沢山見つける事が出来るのか勝負といきましょう」
「負けないよ~」
希ちゃんと奈津美ちゃんは何だか勝負を始めてしまった。
頑張って全員見つけないと今後の部活に支障が出るからふざけないで探してほしいんだけど。
「先輩。希ちゃんの事は任せましたよ」
「任せて。暴走しないように私が責任を持って見張ってるから」
「それでは参りましょうか」
「レッツゴーだよっ」
とりあえず私達は駅前で先輩たちは商店街を担当する事になって先輩たちは電車に乗って商店街へと向かっていった。
――数分後、商店街の入口には希と美里の姿があった。
「そんじゃバンドメンバーを探そっか」
「そんだね~。でもそんなに簡単に見つかるかな~。何か目印でもあればいいんだけど」
希は天性のカンで周りに怪しい物が無いかサーチしたんだ。
すると、希レーダーに何かが反応したよ。
「おおっ。あっちに何かいるよっ。先輩付いてきて」
「あっ、希ちゃん待ってぇ~」
希達が商店街の人の波をかき分けて進むと、道の真ん中で野球のユニフォームを着た人が素振りをしているのを発見したよ。
「わ~。なんかいたぁ」
「希ちゃん。あの人ってあんまり音楽とかやらなそうだけどバントメンバーなの?」
「希のカンがそうだって言ってるから間違いないよっ」
「う~ん。何か調べる事が出来る道具でもあればいいんだけど」
「大丈夫だよ。こんな事もあろうかと、希はカバンに野球のボールを入れてきたんだっ」
希はカバンから野球のボールを取り出して、時速5mの超スローボールを素振りをしてる人に投げつけたんだ。
「わ~。そんな絶好球を投げたらホームランされちゃうよ~」
「大丈夫だよっ。先輩はそのまま見てて」
素振りをしている人は希の投げたボールに気が付いて目をキランと輝かせてバッテングに入ったよ。
「さあ、希のスーパースローボールを打つんだよ」
素振りをしている人はそのまま、思い切り振りかぶってボールをジャストミート。
――すると思ったらバントの構えをして見事な送りバントを決めちゃった。
「やっぱりこの人がバントメンバーで間違いなかったよ」
「あれだけ鮮やかなバントを決められちゃったら間違いないね~」
「じゃあ早速バトルして捕まえよっか」
「そうだね〜」
希はそのままバントメンバーに勝負を持ちかける事にしたよ。
「ねえ。希と勝負をして負けたら仲間になってよ」
「いいぜ。俺がバントを決められなかったらメンバーになってやるよ」
「交渉成立だね~。じゃあ私がキャッチャーをやるから希ちゃんが投げてね~」
「了解だよっ」
「けど、こんな商店街の真ん中で野球のボールを使うのは危ないからこのチョコボールで勝負だ」
バントメンバーはポケットからお菓子の箱を取り出したよ。
「わ~美味しそ~」
「ねぇ。これ後で食べてもいい?」
「ああ、俺に勝ったら後で好きなだけやるよ」
「やったぁ」
そんなこんなで商店街の真ん中で希達とバントが得意な人の勝負が始まったよ。
「希ちゃ~ん。甘いボールは全部バントされちゃうから気をつけて~」
「わかってるよ。チョコのボールはとっても甘いんだよっ」
「ヘイヘイいつでもいいぜ」
希はキャッチャーをしている先輩のサインを確認したよ。
ふむふむ、成る程まずはそこから攻めますか。
希は大きく振りかぶって先輩のサイン通りのボールを投げつけた。
チョコボールはそのままバントが得意な人の方向に向かって行ってお尻に直撃したよ。
「――フゴッ」
「バントが出来なかったんだから、この勝負は希達の勝ちだねっ」
「ふふふ、まさか俺にバントをさせないとはなかなかやるな。仕方ない仲間になってやる」
「まずは1人ゲットだね~」
「よぉし、このままドンドン行くよっ」
――希はそのまま野生のカンで2人目のバントメンバーをサーチするよっ。
「あっ今度はこっちにいる気がするよ」
「次はどんな人がいるのかな~」
希は次も本能のままに反応があった場所に駆けつけると、商店街の真ん中でリフティングをしている人を発見しちゃった。
絶対にあの人もメンバーに違いないよ。
「希ちゃん。今度はどうするの?」
「こんな事もあろうかとサッカーボールも持ってきてるから任せてよ」
希はカバンからサッカーボールを取り出して商店街の真ん中でリフティングしている人めがけてボールをシュートしたよ。
リフティングしてる人は私のシュートに気が付いてボールを手でキャッチしちゃった。
「やっぱりこの人はハンドメンバーだよっ」
「サッカーボールを手で掴んだし間違いなさそうだね〜」
「今回も希が買ったら仲間になってもらうよっ」
「ふっ、いいだろう。俺からゴールを奪えたら仲間になってやろう。俺がバントメンバーの様に簡単に仲間になるとは思わない事だな」
ハンドメンバーが指をパチンと鳴らしたら商店街の道からサッカーゴールがせり上がってきたよ。
通行の邪魔になるしさっさとやっつけないといけないね。
「じゃあ希から蹴るね。先輩には審判をお願いするよ」
「わかった〜。希ちゃん頑張ってね〜」
「さあ、いつでもいいぜ」
「正々堂々、一対一の勝負だよ」
ハンドメンバーはゴールの真ん中で両手を広げて希が蹴るのを待ち構えているよ。
ゴールを決める事が出来るか心配だけど希は覚悟を決めて、おもいっきり必殺シュートをくりだした。
「くらえっ。必殺ツインシュート」
希は審判役の先輩と一緒に合体シュートを繰り出したんだ。
二人で蹴った事によって、変則的な回転が加わって凄い勢いでゴールに向かって行ったよ。
「こんなものおおおおお」
勢いは凄かったけど、真正面だったからハンドメンバーに楽々キャッチされちゃった。
「ピピーッ。手で掴んだら反則だよ〜。反則負けで希ちゃんの勝ち〜」
「しまったぁああああ。――お前、俺がハンドメンバーだと知っててわざとキャッチしやすいボールを蹴ったな?」
「えっへん。作戦勝ちだよっ」
「これで、二人目ゲットだね〜」
「このままどんどん行くよっ」
希は適当にその辺の道に入っていったよ。
すると、白黒の服を着たおっさんを発見しちゃった。
「ああっ、野生のパンダメンバーが現れたよ」
「顔もパンダメイクしてるから間違いなさそうだね〜」
「なんやワレ? ワイに何か用か?」
パンダメンバーは好戦的だなぁ。
よし、こうなったらメンバーバトルで勝負だよ。
「いけっ、バントメンバー、ハンドメンバー」
「頑張って〜」
「バントメンバーのバントビームだよっ」
バントメンバーはバットを振ってパンダメンバーにビームを繰り出した。
――けど効果はいまいちみたい。
「ああっ、もしかして属性相性が悪いのかもっ」
「なんや? 次はこっちの番か? いくで、パンダビームっ」
パンダメンバーのビームが戦ってる二人に当たったら二人は吹き飛ばされちゃった。
パンダメンバーの攻撃は二人に効果抜群でライフがティウン、ティウン鳴りだしちゃったよぉ。
「う〜ん。今持ってるメンバーだとパンダメンバーに勝てないかも……」
「希ちゃん。きっと何処かに弱点があるはずたよ」
「そう言われてもパンダの弱点なんて思い浮かばないよぉ……」
「あれ? 何かパンダメンバーの後姿が変じゃない?」
「ほえ?」
言われてみれば何だか違和感が……。
「あっ、尻尾が黒いよ。このパンダさん偽パンダさんだ」
「言われてみればそうだね〜」
「なんや? パンダの尻尾って白やったんか?」
「そうだっ。ねえ、尻尾を白くしてあげるから仲間にならないかな?」
「ええで、ワイを本物のパンダにしてくれや」
「わかったよ」
希は黒色を白色にするためにカバンから白いペンキを取り出して頭からパンダメンバーにかけたんだ。
「わわっ、全身真っ白になっちゃった。これじゃあパンダじゃなくてシロクマメンバーだよ」
「ワイはシロクマでもええで」
「う〜ん。シロクマメンバーだとちょっと違う気がするな〜」
「どうしよっか?」
「希ちゃん。黒色のペンキは持ってないのかな?」
「う〜ん。希は普段白色ペンキしか持ち歩いてないから黒色ペンキは持ってないなぁ」
どうしようかと周りを見てたら、ちょうど殺人事件を起こしそうな全身真っ黒な人がアリバイ工作をしてる場面を発見したよ。
「ちょっとまったぁ!」
「何だお前? 今アリバイ工作するのに忙しいから後でな」
「駄目だよ。事件を起こして探偵さんにバレたら全身真っ黒じゃ無くなっちゃうよ」
「そうならない様に工作をしてるんだが。解ったらさっさとあっちに行くんだ」
「協力してくれないなら、今から希が事件を解決して正体判明させちゃうよ?」
希は早着替えで探偵さんのコスプレをして犯人はお前だのポーズを取って真っ黒な人に人差し指を突き刺したんだ。
「ま、待て事件を起こす前に犯人バレするのは流石にまずい」
「じゃあ希の仲間になってもらうよ」
そのまま希は真っ黒な人を連れて先輩の所に戻って行ったよ。
「希ちゃん何処に行ってたの〜?」
「ちょうどいい人を見つけたからバンドメンバーに入って貰ったんだよ」
「どーも」
「わ〜。全身真っ黒なタイツの人だね〜」
「真っ白のシロクマメンバーと真っ黒のタイツメンバーの二人で白と黒の実質パンダメンバーだよ」
「なるほど〜。そう来たんだ〜」
これでパンダメンバーも仲間にしたから次のバンドメンバーを探しに行くよ。
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