第13話「嫌気」
何の為に生きているのか。
それが分かれば苦労しない。
こうして筆を取ることもまして。
私は仲良しでありたかった。
少なくとも片思い程度には、友人だと思っていた。
彼女が屈託のない笑顔のまま毒を吐くまでは。
「――仲良くない友人といると、つい喋っちゃって⋯⋯だから、黙ってるの苦手なんだよね」
その時彼女の目は私を見ていた。
私は撃ち落とされるよりも早く、心臓を穿たれた。
それまでの私に当てはまらない常識が、ガツンと音を立てたのだ。
私はもうどうしようもなかった。ふらついて、胸を締め付ける苦しみの行き場を見失って、泣いた。
それでもまだ残るしこりが、彼女への憎悪に変わる。
私はこんなにも、彼女を思っているのに。
どうしようもない人間だと、私は私をわらった。
嫌われている。
そう、勝手に変換して、また落ち込んだ。
今もまだ、答えがない。
どうしていいのわからない。
助けてくれ。
「誰か。助けてくれ」
そう唱えても、誰の手も見えない私には、元々彼女のそばにいる資格は無いのだと思い、諦めるより他の選択肢は残されていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます