第14話「夢なかば幻」

 幼い自分は、夢を見なかった。

 もう覚えていないその思い出は、懐かしいことだけ覚えている。



 小さな自分は、現実を見ていた。

 身の丈にあった理想を持ち、恋に人知れず破れた。



 中くらいになって、夢を見た。

 共に居たいと願うほど、離れていくとは知らずに。



 高くなった頃に、幻ばかり追いかけるようになった。

 もう、いい加減に気付いた。



 ――才能なんてものは、私には無い。



 ⋯⋯大きく成れない私は、一体何になるのだろう。

 前向きになどなれぬまま、そっと自らの首を締め付けている。


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