第11話「淡い心:Ⅱ」

 昔から、太陽は太陽だった。

 そんな太陽を見て、そこらの土塊は願った。


 土塊は星になりたかった。

 何等星でも構わない。遠いどこかで構わない。輝く星になってみたかった。


 一年後。太陽は消えた。

 それどころか、月と共に、輝いていた。


 さらに3年が経つ。

 久しぶりに太陽を見た。


 土塊は星になれた。

 けれど、惑星なることを諦めていた。


 太陽は太陽のまま、大きくなっていた。

 だが、土塊を覚えていた。


 土塊は知っている。

 変わらなく美しく、そして無邪気な太陽の姿を。


 土塊は惑星になってみたかった。

 それを思い出した。


 また、二年後に。

 今度は惑星になりたいと願う。

 そして、いつかの日か。

 月になることを誓った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る