第2話-学徒

 夜が明ける。

 時は満ち、天国にはいられなくなった。

 同時に現れるのは監獄と言う名の地獄。

 重々しい心を引きずり、監獄へと自ら坂を上る。

 それは天国にも存在した監獄。

 忌々しい苦行を課せられる場所だった。


 大勢の人形とそれを操る一人の傀儡師がいた。

 規則正しく並べられた人形たちは、

 一人の傀儡師を見つめ、ただ操られている。

 気を逸らすことは許されない。

 天国へ帰ることができるのは、もっと先のお話。


 人形に心があったなら。

 もしくは、私が人形になれたなら。

 何かが変わっていたのかもしれない。

 なんて、悲劇を演じる私は何ぞや。


 結局のところ、私はどっちでもないのかもしれない。

 そんなことを思いながら、日々を川のように過ごす。

 関を造る気もしないまま、無意味を知りながら、

 ただただ無駄に垂れ流す。

 いつかそれが星を満たし、自分を沈めるモノだとわかっていても、

 水を止めることはできなかった。



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