第5話 ステータス表示
ステータス表示
「後、俺の聞きたいことは、解ってはいると思うけど、俺の強化方法かな。できれば先輩勇者のナガノさんにご教授お願いしたいところだけど、ここに居ないということは、今はできないのかな? あ、ダンジョンに潜っているのか? まあ、纏めて襲われるリスクは避けるべきだろうし」
「うむ、イオリは、今この街にはおらん。場所は儂も知らん。それでじゃ、まずは最初にイーライ!」
「は!」
祭祀長が立ち上がり、俺の側に来る。そして、おもむろに、懐から何か石?鉱石?のようなものを取り出した。
「近衛様、右手をこの石にかざしてください。今から行うことは、この世界においての身分証の発行のようなものです」
俺が石に手をかざすと、祭祀長が何やら呟く。
石が一瞬光った!
「おお~、これが魔法って奴?」
「はい。では近衛様、右手に意識を集中して【ステータス表示】と念じてください」
俺が言われたとおりにすると、右手からスマホの画面のような、半透明の表示が浮かび上がる。
【ステータス表示】
氏名:アラタ・コノエ 年齢:22歳 性別:男
職業:勇者 レベル:1
体力:120/120
気力:170/170
攻撃力:130
素早さ:150 -10
命中:150 -5
防御:120 +5
知力:220
魔力:180 +5
魔法防御:170
スキル:言語理解5 交渉術2 人物鑑定1 特殊性癖1
水魔法0 土魔法0 光魔法0
家事2 社交術2
なるほど、普通のRPGとかの能力表示と一緒だなと、目を通していく。
今までの話じゃ、この数値、多分チートなんだろうけど、基準が分からんな。
下の方まで行って目が止まる。特殊性癖って! まあ原因は想像つく、あの変態侍女達のせいだろう。
しかし、その後の水魔法0ってなんだ? 使えるのか? 素質自体はあるってことか? また、家事とか、社交術とは? 等と考えていると、祭祀長が声をかけてきた。
「流石は勇者様。素晴らしいステータスです」
「この世界の一般が分からないしな~。他の勇者との比較も。あ、これ、どうやってしまうの?」
「右手に集中して、【解除】と念じてください」
俺が集中すると、表示は消えた。
「これ、周りの人にも見えた?」
「ステータス表示画面は、持ち主が見せたいと思った人以外には、基本的に見えません。高レベルの人物鑑定スキルと魔力を持っている方には、こちらにその気が無くても覗かれますが。私が見えたのは、私の能力もあるでしょうが、近衛様が、無意識に私に見せようと思われたのでしょう」
カサードに視線を向けると、何やらニヤニヤしている。こいつにはバレたな。周りの貴族や兵士は、特に表情を変えてないから大丈夫だろう。
「判ってはいると思うけど、カサードさん、祭祀長、頼むよ」
「無論、わが国の財産である勇者の、『特殊な』能力を口外するはずがなかろう」
完全に黒だな。
「では、祭祀長、ステータスの意味を、簡単にお願いしていいかな?」
「はい、先ずは……」
要約すると以下のようだ。
上から『体力』、『気力』までは説明するまでもなかろう。
『レベル』は、普通に生活しているだけでも、勝手に上がるらしいが、魔物等を倒すと上昇率が高いらしい。
ステータス全般は、ある一定年齢を境に、個人差はあるが下降していく。また、一般人の20歳なら、平均ステータスが80もあれば、かなり優秀らしい。勇者に関しては、直接聞いてくれとのことだ。
『攻撃力』は、素手での値。器等を持つと、武器の攻撃力の分、プラス値がつくらしい。
『素早さ』は、字の通りだ。回避率に影響があり、特殊な攻撃にも影響がある。マイナス値はハイヒールのせいだろう。
『命中』は、武器や素手での命中率に影響する。また、『回避』同様、特殊な攻撃の攻撃力にも影響が出るらしい。
『防御』も、そのままの意味らしい。ただのワンピースだと思っていたが、意外と防御力高いな。
『知力』は、スキルの習得や、魔法の命中等に影響が出るらしい。特殊な魔法の攻撃力にも影響がある。これだけ少し高い気がする。
『魔力』は、魔法攻撃力。『魔法防御』も、そのままの意味だ。
『スキル』は、使うことによって上昇し、最大レベルは5。習得条件は、基本的に、鍛錬によって閃くか、本や他人から習得するという話だが、まだまだ不明な物が多いとのことだ。
また、自分で意識しないと発動しない物と、意識せずに発動する物の、2種類に分かれる。人物鑑定や魔法等は前者、言語理解等は後者だろう。
レベル0の意味については、何も説明されなかったところを見ると、イレギュラーなのだろう。気を遣わせて悪いな。
ステータス表示には実はもう1ページあって、そこには武器防具、所持品等の情報が出るらしい。後で確認しよう。
「祭祀長、ありがとう」
「とんでもございません」
「アラタ、そろそろ疲れたじゃろう。昼食でもどうじゃ」
「そうだね。あ、ごめん、その前に便所行きたいんだけど?」」
「ミレアがご案内致します。どうぞ、こちらです」
後ろから来たミレアに手を引かれ、部屋を出る。
「こちらです」
「ん? 俺が泊めて貰っている部屋のほうが、近いのでは?」
「近衛様のお部屋は、現在清掃中です」
何か引っかかるところがあったが、黙ってついて行く。
「ささ、こちらです」
案内された部屋は、日本のごく普通の一般家庭にある洋式便所だ。ちゃんと紙もある。
女って面倒くせぇ~、と思いながらスカートを捲って、下着を下ろし、用を足す。
すっきりしてから、洗面台で手を洗おうとすると、いきなりミレアが駆け込んできた!
「え?!」
床が円形に光った!
その瞬間、ミレアが無言で俺の手を握る!
「ちょっと!」
一瞬、視界が真っ暗になる。
目の前の景色が変わった。
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