第2話 故障
事件はその日の夜に起きた。
俺は山道を走らせていた。ちょうど福島くらいだろうか。
高速代もケチって、下道を行っていたので、
あまり位置関係もよくわかっていない。
本来丸1日もかからない距離だったが、暑い夏にヘルメットはきつく、
途中休憩したり、小説のネタになる何かが無いかと観光地に寄ったりしていたせいで
夜になっても着いていないのだった。
当時の俺は楽天的に、旅なんだし、焦ることはないさと思っていた。
暗い山道の中、自分の原付のライトの光だけが道を照らしている。
その時、道の真ん中で一瞬だが、子供のような人影が見えた。
俺は驚いて急ブレーキを踏んだ。
だがしかし、そこには何も無かった。
見間違いなんだろうともう一度エンジンをかけるが、かからない。
何度か試すがエンジンがまったくかからない。
懐中電灯を頼りに原付を見てみると、どうやらジェネレータの様子がおかしいようだ
ついてねぇな。どうしようかと俺は途方に暮れた。
こんな時間に修理を呼ぶなんてできないし、呼べるところがあったとしても
1万円以上、下手すれば2万円以上はかかる。
仕方なく俺は原付を押しながら、近くに宿を探すことにした。
しばらくして、車のライトが見えた俺は必死でその車を呼び止めようとした。
両手で手を振り一生懸命止めてもらおうと俺は道路で呼びかける。
どうやらその車は軽トラックのようで、ライトに俺が照らされた直後、
急ブレーキをかけた。
「おめぇビックリさせんじゃねぇよ。こんな夜にこんなとこで何してんだ!」
運転席から顔を出した老人が俺を怒鳴りつけた。
俺は謝りながらも事情を話すと、近くの自分の家に泊めてやると車に乗せてくれた。
「おめぇラッキーだったな。俺が通らなかったらあのまま野宿だったぞ。」
「いやー、本当ありがたかったです。助かりました。」
「ここらへんは俺の住んでる村以外山しかねぇからな。電車もねぇし1日1本の
バスくらいしかねぇからな。」
そんな会話をしながら、俺は出会った老人、山中さんの家に向かった。
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