最終章

8話

* * * * *


「はぁ・・・ぜぇ、ぜぇ・・・やっと着いた。・・・なん、だよ、これ・・・」


俺は着いてすぐに言葉を失った。


何故なら、安全区域にある家は全て燃えていたからだ。

あたりが炎の海で、逃げ遅れた者、子供の叫び声、あたりには男か女かもわからないような死体まであちらこちらに転がっていた。


「誰がこんなことを・・・」


俺は炎がどこから出ているのか考えた。

すると、上から何か落ちてくるものが見えた。


上を見上げると、そこには大量の魔獣や悪魔たちがいた。

魔獣が火を噴いていたのだ。悪魔たちはそれを見てケラケラと笑っている。


「師匠は・・・」


師匠を一刻も早く探さないといけない。そう思っていたが、身体が危険だと判断したのか、それ以上先に行くことは出来なかった。


俺もこのままじゃ、魔獣の餌食か、炎に包まれて、死ぬ・・・そう思ったら恐怖でしかなかった。


いや、駄目だ。俺は剣士、剣士なんだ。自分の使命を忘れるな。

なんのために今まで魔獣狩りをしてきたと思ってる。


俺は肩に背負っていた剣を取り出し、構えの体制に入った。


「うわ、アイツ一人で戦う気かよー」


「それとも俺たちに命乞いかー」


「うるさい!」


位が低いであろう悪魔たちは俺を馬鹿にして笑っていた。


すると、そこに


「君たち、あれは戦う態勢なんだよ。彼は剣士だからね」


聞き覚えのある声だ。あれ、この声を俺はどこかで聞いたことがある。

でも、思い出せない。


「君とは滅多に会わないから忘れちゃったかな? 僕だよ。千歳の旦那の」


「・・・え?」


俺はその言葉を聞いて、俺の脳はストップした。

思考回路が思いつかないと言ったほうが正しいか。


たしかに師匠の結婚相手だ。魔獣狩りの仕事で夜しか帰って来ないから、俺はほとんど会うことはなかった。


だけど、何故・・・千歳の結婚相手がこんなところに?


いや、それよりもなんで悪魔たちと一緒に空を飛んでるんだ?

その黒い翼はなんだ? 

6枚くらい羽が生えてるってことは、位はそれなりに高いはず。

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