7話

* * * * *


それから、10年が経った。月日はあっという間に流れるものだ。

俺も、もうすぐアラサーか・・・なんて呟く今日この頃。


俺は、ある場所に立っていた。


それは・・・「秋月千歳」と掘られた墓石だ。


7年前、俺の師匠は命を落とした。


それは俺が剣士になってすぐに起きた出来事だ。

あれは今でも忘れることは出来ない。

残酷で、切なく、悲しい物語。


あれから師匠は結婚して、とても幸せな日々を送っていた。


俺は会えないだろうと思っていたが、俺が休日の時はときより、俺の様子を見に顔を出してくれた。


「導、聞いて! 旦那様が今日もね・・・ふふっ」


会うたびに聞かされるのは結婚相手のことだった。


気持ち的にはすごく微妙。だけど、師匠が幸せそうに話ならそれでいいかという自分もいた。

それに師匠が楽しそうに結婚相手のことを話しているのは、俺も何故だかわからないが、少しだけ幸せな気分になった。


あぁ、今の人と凄く幸せなんだな・・・本当に良かった。

これなら俺が守らなくてもいいか。次の恋に行くのは、かなり時間がかかるかもしれないが、俺も次の恋に行くべきか・・・なんてことを考えていた。


だけど、そんなある日、事件は起きた。


俺が魔獣狩りから帰宅してすぐの事だった。


『安全区域が燃えている』と近くの住人から聞いた。俺は慌てて、安全区域へと向かった。

そこは師匠が住んでいるところだから。因みに俺は安全区域から少し離れた場所に住んでいる。

そのため、俺が住んでいる場所から距離があった。


「無事でいてくれ、頼む・・・!」


俺は走った。ただ、がむしゃらに。

任務から帰宅したばかりで魔獣の血がついた服のままだったが、それも気にならないくらいだった。汗だくになっても、ただひたすらに走った。


『どうか無事で』その言葉を頭で何度もリピートしながら。

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