第112話『惜別 それはバンジージャンプから』
高安女子高生物語・112
『惜別 それはバンジージャンプから』
MNB47の母体はユニオシ興行。
日本で一番人使いが荒い。
当たるとなると、半日の休みもくれへん。これでは、先日の仲間美紀みたいな子も出てくる(リスカやったけど、命に別状は無し。せやけど、休んでる間に、ゴーストライター付きで手記を書かされてる。ほんまに無駄のない会社や)
あたしらは、まだ売り出し中なんで、来た仕事はなんでもやる……やらされる……やらせていただく。
今日は、わざわざ新幹線とバスを乗り継いで、バンジージャンプのメッカ岡山鷲尾ハイランドにまできた。
あたしらはAKBみたいに自分の番組持てるとこまでいってないんで、ヒルバラ(お昼のバラエティー)に10分のコーナーをもろてて、メンバーが、とっかえひっかえ、いろんなことをやらされる。
「ええー、どうしてもMNBの明日香がやりたいというので(だれも言うてません!)この岡山鷲尾ハイランドのバンジージャンプにやってきました。ここはジャンプしながら願い事を叫ぶと叶うそうです。デビューからたった2カ月、どんな願いがあるのでしょうか(決まってるやん、ゆっくり寝かせて!)でも、ここの願い事は、ジャンプするまでは口にできません。しゃべってしまうと効果が無いそうです。で、明日香にはカメラ付きの……」
ヘルメットを被せられた。顔の前には自撮り用とメットの上には、あたしの視線とシンクロさせたチビカメラ。
ホンマはメンバー二人が飛ぶはずで、ジャンケンに負けたカヨさんも飛ぶはずやったんやけど、リハでちびってしまうぐらいの緊張なんで、急きょチームリーダーのうちが二人分の内容=おもろさを出して飛ぶことになった。
「なんで、明日香が選ばれたか分かる?」
MCのタムリが聞いてくる(おまえやんけ、やれ言うたん!)
「え、あ、センターだから?」
「いや、明日香だけが、自分の部屋3階にあるから」
「ええ、マンションの五階とかに住んでるのもいますよ」
「戸建てで、三階は自分一人やから。で、準備は万端?」
「うん、トイレも二回もいってきたし……たぶん大丈夫」
「よし、絶対成功する御呪いしてあげる……」
そう言うて、タムリはあたしのすぐ横に寄ってきた……と思たら、突き飛ばされた!
ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
そう叫んだとこまでは覚えてる。そのあと、あたしはモニターの中からも、みんなの視界からも一瞬で消えて……何かが抜けていったような気がした。
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