勇者

ドラゴンって美味い。

俺は今クラスメイトと先生と一緒に飯を食っている。

最初は怒鳴っていたクラスメイトも飯を目の前に出されると大人しくなった。

そして俺はこれからどうするべきかを考えている。先生が料理を作っている間に俺が気絶していた間の事を教えてくれた。

まず転移後に俺以外のクラスメイトと先生は声が聞こえたらしい。

『ステータスとスキルを駆使してドラゴンを討伐せよ。』

と言っていたらしい。

そしてそのあとドラゴンが来て、先生が負けて、皆逃げたという事らしい。

あれ?

「みんなって最初から表示メニュースキル持ってんの?」

「簡易表示スキルの事?」

なんだそれ。俺は慌ててこいつのステータスを見る。

スキル表示メニューがレベルupしました。

名前 樹大 じゅだい雨生うせい

種族 人間

HP 200

STR 100

VIT 70

MP 100

AGI 60

INT 50

MND 65

スキル

簡易表示 Lv---


称号

勇者


おそらくこの称号っていうのと、スキルのレベル表示はメニューのレベルupのおかげだろう。

でもこいつ勇者だったのか。さて簡易表示スキルの詳細を見よう。もちろん詳細が見れるのはメニューのおかげだ。メニューのヘルプ機能がスキルの詳細や、分からない事を教えてくれるので大体のことは分かる。俺の異世界の教科書だ。


簡易表示

自身のステータスを表すスキル。後天的に入手不可。表示スキルの下位互換。


上位のスキル持ちの俺からして見ればゴミスキルだ。まあ、自分のステータスを確認できるだけで便利だとは思う。とりあえず、メニュースキルを持っている事は隠そう。よこせなんて言われて喧嘩になったらステータス差で恐らく死ぬ。

「うん。簡易表示って皆持ってるの?」

「転移した人は全員持ってるけど?」

「そうか」

俺はそう返事をし、思考を戻す。やっぱりここにいつまでも居るのはまずい。魔物が寄って来て殺されるかもしれない。あと、金が無い。それにいつまでも草原に直接寝たくないし、食べ物は魔物でなんとかなるが、水は無い。

やっぱりまず王都に行くか。王都を選んだ理由は、ここから比較的近いのと、情報が集まりやすいからだ。

「なあ、二人は明日からどうする?」

「俺は飯食ったらすぐに近くの村に行くけど?」

「私は行く場所もないので大重君と一緒にいようかと。」

なるほど。先生は料理ができるしおそらく強い。

だがクラスメイトは個人的に反りが合わない。

これは俺にとっても都合がいい。

なんて考えていると、クラスメイトが飯を食べ終わった。ちなみに俺と先生も食べ終わっている。

「じゃあな」

クラスメイトが出て行くのを見送り、俺は先生にこれからの事を伝えた。

「じゃあ私はついていきます。」

「最初は断ったが頼りにしている。」

主に料理で。

「おやすみ。」

俺はそう言って草原に転んだ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る