第3話 初対面

 あれはやってしまったか?最初の挨拶にあんなに静かになったのは初めてだ。まさか、この髪のせいか?まさか、まさか。じゃ、声か?確かに高校にしては、てかなかなかそういないのだが声の低さに関しては群を抜いていた。これは、前住んでいたところでも最初は少し引かれていた。だが、ここまで引かれるのは初めてだ。田舎の人間は視野が狭いのか?いや考えがせまいのか?そんなことを考えながら教師につられクラスに向かっていた。

 いや、あそこまでのものだとは想像が出来なかった。そんなことしか考えられなくて頭の中にウジ虫でも湧きそうな勢いだった。

 教師に声をかけられドアをくぐる。いつの間にか教室に来ていたみたいだ。

 教室中の目という目がまるで実験用のモルモットを見るかのような目で黒板の前を歩く自分を見ていた。まるで、恐怖だ。小説や物語に出てくる転校生はこういう心境でこの日を迎えていたのか。そう思うと背筋ゾッとした。

 教師、というか担任が自分を改めてクラスに紹介した。そういや、クラスを確かめてなかったな。後で、確認しなければ。

 気付けば担任が自己紹介をしろ、という目で自分を見ていた。改めて自己紹介をした。 

 「伊藤、そこの席に座ってくれ」言われた方向にめをやるとまさにその景色が広がっていた。まさにそれは、物語で見るような景色だ。黒板を前にして左側の窓から2つ目の後ろから2つ目。自分の運命に泣き叫びたくなった。本当に死んでやりたい自分はここまで運命というやらに縛られて生きるのか。目から涙が零れそうになった。

 「どうした、伊藤。」教師の言葉で我に返り重い体をその席にへと移した。最悪だ。ここまで物語気質だったとは・・・!?くそっ!

 そんなことを知らずに隣の女子が椅子を引いてくれた。

 「よろしく。」そう一言だけ言った。自分も「よろしく」と言った。

 「今日の学校はこれで終わりでHRもなしで。それじゃ、さようなら。」そう言って担任は足早に教室から出て行った。

 「ねぇ」そう隣から言われ「ん?」と反射的に答えた。そこにはまだ女子がおりじっと自分の目を見ていた。その瞬間、自分は彼女の目に惹き込まれてしまった。美しい。いや、多様な色相の色が無数に絡み合い彼女のめを形作っていた。美しい、見れば見るほど惹き込まれてしまう。

 「あのー・・・聞いてる?」彼女の言葉で我に返った。「聞いてた?」彼女は何かを話していたらしい。目に惹き込まれ過ぎて話いや、周りの音すらも聞こえなくなていた。「ごめん、聞いてなかった。」不愛想に答えた。「だから、この後暇?」どことなく彼女には少し違和感が生じていた。人とあまり話したことがないのだろうか。それか、過去にひどいことをされて心を閉ざした成れの果てか。「別に暇だけど。」またもや不愛想に答えた。「じゃ、ちょっと散歩しよ?」その言葉を言った顔が少し可愛かった。

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