第2話 私の隣の転校生

 高校二年生の始業式。といっても人数の少ない4クラス程度で全員顔見知りであって、クラス替えという感覚がなかった。

 朝聞いたのだが転校生が来るらしい。男の子と聞いていた。

 今、私は友達もいなくクラスに溶け込むだけで必死だから、初対面早々に話かけるなんてなんて到底考えられないそれができたら苦労しない。

 だが、母からはこのチャンスに友達になっちゃえ!っと背中を押されているし。勇気もって少し話しかけてみようかな、、、

 登校中はいつも通りイヤホンをつけ音楽を聞いていた。教室に入ってからもイヤホンは外さない。喋る友達はいなかった。

 何故、華のない学校生活を送っているのだろう。本当はもっと素直に生きたいのに周りに合わせて、角を立たないように気をつけてきた。だから、意思はあるようでなかった。

 段々とクラスの皆が集まってき、段々と周りが賑やかになっていた。

 チャイムが鳴り先生が点呼をして、全校生徒が体育館に向かおうと動き始めた。私もつられて体育館に向かった。足取りは半ば人形だった。

 廊下には横一杯に生徒が溢れていた。肩が触れても何も言わなくて、喋り声がよく反響する。

 きっと転校生の話があるはずだ。そう思うと少し胸が騒いだ。

 生徒が体育館に収まってチャイムが鳴ると無駄に長い校長の話が始まった。続いて教頭の話が終わった後、例の転校生の話になった。

 校長につられてその体をけだるそうに動かしていた。舞台に立って校長からの転校生の紹介が行われた。

 「自己紹介をお願いします。」

 校長の言葉の後に転校生がマイクを握り渡さた。

 低い声で、

 「伊藤・・・裕翔・・です。短い間ですがよろしくお願いします・・・」

 マイク越しでもわかる特徴的な低い声は体育館内を静かにさせた。

 校長の代わり映えもしない締めの言葉で始業式は終わった。その間、ずっと彼を見ていたが顔の半分が髪で覆われ半分モザイクがかっているようだった。誰も寄せ付けないオーラが漂っていた。一体、前の学校ではどういった存在だったのだろうか。どこか不思議な感じがする。

 少しだけ仲良くなれそうな気がした。


 

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