paraphilia

辛口聖希

第1話 転校

 親の転勤で少し田舎の町へ引っ越しをした。

 都会で生まれ中学生まで過ごししてきたからか、自然の多さやコンビニの少なさ、そして大型のスーパーなどへは車を使わないと行けないところなどが感じたことのない不安があった。見知らぬ環境で不安に圧倒された。

 新しく転校する「国城町立高等学校」を見る。クラスメートとの初めての対面で緊張して朝の目覚めが皮肉にも良かった。

 ベッドから身を起こし布団をはがすも、疲労が抜けきれていない感覚であった。そんなに緊張しているのか。自分は自分の心に嘆くが、自問自答のように空しく自分の体の中に響いた。

 深い沼から体を抜こうとするようにして体を起こした。

 扉を開け妹の声が響くリビングへと足を進め、階段を下りた。


 「あ!裕翔ゆうとが寝坊してる!」朱音あかねが朝の耳には耐えがたい声で言った。朱音は朝に強く起きれるのだが……違って自分は朝が弱い方。起きるのがこの世の苦しみというぐらいに辛いのである。

 「早く用意しなさい。初めての登校なんだから。」家の住所が変われども、母のいつもの対応は変わらなかった。テーブルの上に丁寧に並べられたお皿にパンや目玉焼きが乗っていた。朱音はもう食べ終えたていた。制服に着替えるためにリビングから出て行った。

 父は転勤して職場が近くなって、朝出ていくのが比較的に遅くなった。新聞を顔の前に広げて、絵に描いたような父親を演じている。まぁ、自分にとってはどうでもいいことだからそこまで目にはつかない。

 「早く食べなさい。」再三の母の言葉を聞いて、椅子に座り朝食に手をつけ始めた。

 朝食後重たい体を引きずって、身支度をして学校への道を歩いた。

 遠足の気分のような楽しみを道中は感じていた。

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