6日目
雨粒が窓を叩く。
「僕」はビー玉片手に外を見る。
今日は朝から雨だった。
何もすることのない「僕」は、ぼんやりと外を眺めていた。時折、「彼女」のことが頭をちらつくが、考えても答えは見つからないと結論づけた「僕」は、頭を振って追い払った。
ぼんやりとした午前が過ぎ、昼食後、「僕」は祖母に呼ばれ祖母の部屋へ行った。
「言おうか迷ったんだけどねぇ...、やっぱり知りたいんじゃないかと思ってねぇ。」
そう言いいながら祖母が開いた古いアルバムには、若い頃の祖母と思われる女性と、見覚えのある女性が写っていた。
・・・「彼女」だった。
「夕ご飯の時にどこに行ったか話してくれたでしょう?あれを聞いてねぇ、もしかしたらって思ったのよ。だって、あんなにたくさんの場所を知っているのは「彼女」だけなんだもの。」
白黒写真でもわかる白いワンピースが、「彼女」によく似合っていた。
なんでも、「彼女」は祖母の幼馴染で、白を好み、特にこのワンピースをよく着ていたのだと言った。
“あの日”に着ていたのもこのワンピースだったらしい。
「“あの日”って何?」
「...「彼女」が亡くなった日だよ。」
「えっ...?」
「「彼女」はね、もう死んじゃっているのよ。明日が命日だよ。」
祖母曰く、山道で落し物をした次の日に雨が降り、雨上がりの山道の傍の斜面で落し物を掴んだ直後に足を滑らせて亡くなったらしい。
幽霊になるのは未練があるからだとも言うが、「彼女」にとっての未練は
“死んだこと”なのだろうか。
祖母もそこまではわからないらしく、首を捻っていた。
とにかく、「彼女」のことを少しでも知ることができたのは大きな収穫だった。祖母に「ありがとう」と言い、部屋を後にした。もっと知りたいと思った。「僕」は、明日「彼女」に会って直接聞くことに決めた。
会えるかどうかはわからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます