5日目
「彼女」がさよならと言い背を向けた後に、「僕」を振り返って口を開き何かを言おうとしたところで、目が覚めた。
昨日の事を夢に見たせいで、よく眠れなかった。夢でも「彼女」の答えを聞くことはできなかった。
未だ、「僕」は「彼女」のことを何も知らない。
「彼女」の正体について考えてもみたが、結局何の答えも出なかった。
午後の公園に足を踏み入れた。
ビー玉は持って来なかった。
「彼女」が来てくれる保証はなかった。
ビー玉ごしでなくとも「彼女」を見ることができる自信はなかった。
「僕」しかいない公園。
蝉が短い命を震わせていた。
そよ風が「僕」の頰を撫でた。
太陽が地上を見下し嘲笑っていた。
影が「僕」を見つめていた。
白は、見えなかった。
「彼女」は来なかった。
理由はわからなかった。昨日の質問のせいかもしれないが、そうなると「彼女」は自分の正体を知られたくないのではないかと思った。
太陽が「僕」の上を通り過ぎ、地下に潜ろうとしていた。
「僕」は、夕焼けが照らす孤独な公園を後にした。
寂しげな赤が照らす道を、下を向いて歩いた。
その夜、雨が降り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます