こんにちは!



「ほら、あそこに見えるのが開拓基地ですよ!ところで、その届けものは誰宛ですか?」



 近づくにつれて仮設住宅が密集しているのが見えてきた。恐らくあそこが居住地区だろう。奥には仮設住宅には不釣り合いな建物も見えるあそこでは研究、開拓をしているのかもしれない。



「メドサン・フロリアンさん宛に娘さんからお届けものを預かっています。」



 そういえば、割れ物だったけど大丈夫だろうか?墜落はしてないし、何処かにぶつかった記憶もないから大丈夫だとは思うが…



「あぁ、先生宛のお荷物ですね、この時間帯なら医務室で仕事中でしょう。ご案内します」



そういうと、お兄さんは十字のマークの建物まで案内してくれた。



 道中すれ違った人達は興味深そうに私を眺めていたり、労いの言葉をかけてくれる人もいた。みんな男の人で髭が伸び切っていたり隈が出来ていたりしていて、私よりも過酷な労働をしているように思えた。



「それでは、私はここで失礼しますね」



お兄さんは爽やかな笑みを浮かべて、丁寧にお辞儀をした。



「いえいえ、こちらこそありがとうございます。お兄さんは命の恩人です。感謝してもしきれません。」



そう言うと、お兄さんは照れたように笑い。



「貴方の運が良かったんですよ、帰りもお気おつけて」



そう言って去っていった。







 私は建物の中に入り、通りか買った看護師さんに声を掛けて先生の所まで案内してもらった。



開拓基地の病院はやはり普通の病院と比べるとかなり小さめで、患者さんもほとんど居ない。



「先生は今遅めの昼食をとっています。少し前までは患者さんが数人いて忙しかったんですが、タイミングが良かったですね」



ふふっと笑いながら看護師さんは私を一番奥の部屋に案内してくれた。なるほど、やはりこの過酷な土地では怪我などは耐えないのだろう。



私は部屋扉を3度ノックして、病院なので少し声を小さめにして声をかけた。



「こんにちは、青空郵便の者です。ミーナ・フロリアンさんからメドサン・フロリアンさん宛に誕生日プレゼントを預かっています。」



そういうと部屋の中から大きくて低い声で返事がありドスドスと大きな足音が聞こえた。とても…嫌な予感がする。



 中からはとんでもない大きさの人がでてきた。額には2本の角、間違いない鋼の国の人だ。



(うっそだろ…依頼人の住所草花の国だったじゃないか)



どこの国に住むかはちゃんと申請を出しているのなら自由だし、私の国でもよく別の国出身の者をみる。だから別におかしな事では無いが…。



「娘からプレゼントか!嬉しいねぇわざわざありがとう!ささっ、君も入りたまえ!今お茶を入れよう!」



声がかなり低いからか、他の鋼の国の人に比べたら声が小さいように思う、しかし、それでも他の国の人に比べたら大きい、怖い。



「お、お邪魔します~」









「だっははは!お前さん遭難したのか?そいつァ災難だったなぁ!でも、見た感じ体に異常は無さそうだな!」



「えぇ、1日だけでしたし、何とか無事です。」



 先程、先生に吹雪で道に迷ったことを言うと、診察室に案内されて簡単な検査してくれた。



いきなり凄い勢いで立ち上がって俵担ぎにされた時は喰われるかと思った。すみません先生。



「1日だけだからって甘く見ちゃァいけねぇなァ、ここは常識の通じない雪の国だぜ?」



先ほどまで笑っていた先生の顔が真剣になる。医者が言うのだから相当やばい場所なのだろう。もっとみんなに知ってもらいたいものだ。配達なんかさせないでくれ。



「今夜も吹雪だそうだ!が、明日は1日晴れる!今夜はここで泊まっていけ!病院の部屋を一部屋貸してやろう!」



いたでりつくせりで申し訳ない。急患が大量に来たらどうするのだろうか。でも、こよ寒い中でまだ野宿するのはもう御免だ。お言葉に甘えよう。



「ありがとうございます。お言葉に甘えさせてもらいますね。」



やっぱり寝るのは寝袋より布団がいい。

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こんにちは!青空郵便です! 星野 燕(ほしのつばめ) @tomato_1126

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