開拓基地



「大丈夫ですか?遭難ですか?何時からここに?」



 熊の群れに混じって1人の男の人が立っていた。フードを深く被っているため表情は読み取れないが、声色からしてかなり驚いているようだ。



「こんにちは、私は青空郵便ひのきまち支部の長距離配達科の者です。雪の国の開拓基地への配達のために来ました。昨日道に迷ってしまい、どうすることも出来なかったので、ここにテントを張って寝ました。体調に問題はありません。」



私がそういうと、お兄さんは少しフードを上げて私に微笑み掛けてくれた。



「良かった、私は雪の国開拓班の生物調査担当の者です。私が基地までご案内しましょう。」



なんでも、この薄ピンク色の熊はリーヒェンという熊で最近雪の国で発見した新種らしい。ちなみに名ずけ親はこのお兄さんらしい。凄い。



数ヶ月調査したにもかかわらず、分かった事はごく僅かで、この熊は吹雪を追って常に移動しているという事、耳の後ろから発せられる甘い匂いが強ければ強いほど群れでの地位が高いという事だけだそう。



目を輝かせながら語るお兄さんの姿は、お兄さんがこの仕事をどれだけ好きかということを私に教えてくれた。楽しそうな人を見ると私も幸せだ。これまでの災難が他人事のように思えるくらいには。



「3日ほど前に酷い吹雪がありまして、目印に立てておいた看板が壊れたり雪に埋もれたりしてしまったんですよ」



 私がいた場所は村から少し離れた場所らしく、どちらかと言うと基地に近い場所だったそうだ。



(本当に運が良かった、もし反対側に行っていたら確実に死んでいただろうな、こわー)



 お兄さんに外の国々の様子や最近のニュースを聞かれたので、草花の国での事件の事などをお話をしながら歩いていると、遠くの方に何か建物が見えてきた。



夢にまで見た開拓基地だ



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リーヒェン(Riechen)

薄ピンク色の熊で雪の国の固有種で吹雪を追って移動する。

耳の後ろから特殊な甘い匂いを放出する。その匂いが強いほどミズリードの権力の象徴とされ群れのリーダーになれる。

食べ物は不明で肉も魚も好まない

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