かくれんぼー3
「ごー、ろく、なな……」
瀧聲は屋敷をバックに、大きな木の下で数を数えていた。
――30まで数えたら「もういいかい」って言えばいいんだったよな……。
ユウタに聞いたルールを思い返しながら、数を数えていく。
あれから――
『最後にかくれんぼがしたい』と言ったユウタは、瀧聲が渋々頷くと『やったぁ!』とはしゃいで喜んだ。
『一回だけ、父さん達とやったことがあったんだけど、見つけてもらえなくてずっと心残りだったんだ……だから兄ちゃん、ちゃんと見つけてね』
『やるのはいいけど、見つけられないかもしれないよ?』
その言葉にユウタは首を横に振る。
『兄ちゃんなら大丈夫だよ。昨日だって僕のこと見つけてくれたし。それと……』
ビニールに包まれた箱をがさがさ取り出すユウタ。
この箱は、昨日ユウタがデパートで買ってきたものだ。
『兄ちゃんがちゃんと見つけてくれたら、これあげるよ。僕からお礼の気持ちのクリスマスプレゼント』
『プレゼント……?もしかして昨日、ついてくるなって言ったのは……』
『うん、そういうこと。でも僕を見つけてからじゃないとダメだよ?中身は開けてからのお楽しみ!』
人差し指を口に当てて悪戯っぽく笑ったユウタは、箱とぬいぐるみを抱えて走ってゆく。
『はーい。』と間延びした返事を返して数を数える瀧聲に、ユウタの呟きは聞こえなかった。
『大事な友達だから、もう一緒にはいられないんだ……さようなら、瀧聲兄ちゃん』
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