長い夜ー1

「……遅いな」


ユウタが買い物に出掛けて4時間経った夜中の11時。

言われた通り瀧聲は公園のベンチに座って待っていたのだが、ユウタは一向に帰ってこない。

最初はそのうち帰ってくるだろうと、肉まんを食べたり寝たりしながらのんびりしていたものの、流石の瀧聲も心配になってきた。


―― 一体どうしたんだろう、まさか迷子になったとは思えないし……。


そう思って、瀧聲はユウタが駆けていった先に見えるデパートに目をやる。

食料品、ゲームコーナー、服屋、食品売り場など、数多くの店がはいっている総合デパートだ。

しかし今その明かりは消え、昼間の賑わいからは想像もつかないような静けさが建物を包んでいる。



――店自体はもう閉店してるようだし、いい加減帰ってきてもいいんだけどなぁ。



頭上にある水銀灯の明かりをぼんやり見つめる瀧聲。

辺りは静かだが、時折遠くからバリバリと何台ものバイクが走っていく音が聞こえる。




――そういえばここってあまり治安よくなかったっけ。頻繁に事件とか起きてるし……ってまさか。


突然、ベンチの背もたれから姿勢を起こすと、公園にある時計を見る。




――時間は11時過ぎ、事件が頻繁に起きる時刻といえばちょうどこの時間帯……可能性はある。



ある考えに至った瀧聲はベンチから立ち上がると夜の街を駆け出した。

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