呟き
「……やっぱり兄ちゃんと一緒にいるの楽しいな」
人気のない路地に出たユウタは呟くように言った。
手には瀧聲からもらったぬいぐるみと、デパートで買った大きな箱を抱えている。
「これはありがとうの気持ち……クリスマスプレゼント」
箱を目の高さに掲げるユウタ。
振るとガサガサ音がする。
「んー耳当てって、こんな機械っぽかったかな?でも喜んでくれるといいなぁ。けど、兄ちゃんのことだし、耳当ての話忘れてそうだなぁ……」
ブツブツと呟きながら歩くユウタは楽しげだ。
しかし、その顔が急に真面目になる。
「ずっと遊んでいられたらいいのに、ずっと……。もう、独りは嫌なんだ。『あの時』だって見つけてもらえなかった。結局ずっと独りだった。だから、だから僕は……」
ギュッと箱とぬいぐるみを抱きしめるユウタ。
「プレゼントを渡して、そして兄ちゃんにお願いするんだ。『死んでくれる?』って……」
その瞳に暗い光が宿った。
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