探偵と少年ー1

「ねぇ、瀧聲兄ちゃん。こっちに行こう!」


「わっマフラー引っ張らないでまた首絞まる……」


「だって早く横断歩道渡らないと赤になっちゃうよ」


「あー……分かったからとりあえず離して……」




あれから――


家出をしたという少年――ユウタのこれまでのいきさつを終点に着くまで聞かされた。


簡単に内容をまとめると家出の原因は両親との大喧嘩。

喧嘩をし、思わず家を飛び出してしまったという。

それから帰ろうにも帰れず、あてのないままフラフラと電車に乗って瀧聲に出会ったのである。


『家にはまだ帰りたくない。でも一人だと凄く怖い……怖いんだ。ね、家に帰る勇気が出るまで兄ちゃんについて行ってもいいかな……?』


それがユウタの申し出だった。


『うーん別にいいけど……でも何するわけでもないし、ついて行ってもつまらないよ。いいの?』


『うん!一人じゃなくなるなら大丈夫。寂しくないもん』


そう言うとユウタは自分を指さし自己紹介をした。


『僕、ユウタっていうんだ。7歳!』


恐らく小学校の制服であろうジャケットの襟を正してペコンとお辞儀したあと、瀧聲を見つめて訊ねる。


『兄ちゃんは名前なんていうの?あと何歳?』


――ここで妖怪だって明かしたらいろいろ面倒なことになりそうだな……。


そう考えた瀧聲はとりあえず人間ということにして返事を返す。


『僕は瀧聲。歳は……17歳』


『凄い10歳も歳違うんだ!よろしくね、瀧聲兄ちゃん』



そう言うとユウタはにこっと笑った。

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