44.暇を下さい三分ばかり

 ネモカルア王国日本大使館勤務の職員二人。

 今日も王の兄、千也を見守る。

「飽きてきたな」

「それを言うな」

 繰り返される助手席と運転席の会話。

 瞳の家の扉が開いた。

「あ、瞳さんが出てきたぞ」

 千也と共に真っ直ぐこちらへやってくる。

「……おい、もしかして」

「もしかしなくても……」

 護衛の任務は極秘で瞳にも知らされていないはずだ。

 しかし。

「バレてるな」

「多分な」

 車のドアが開けられ、二人が乗り込んできた。

「隣町のデパートまでお願いします」

「どうせついて来るんだろ。ちゃっちゃと行けって」

 職員二人は顔を見合わせる。

「少し考えさせていただけますか?」

「じゃあ、三分だけ待ってやる」


 結局三分後、車は隣町のデパートへ向けて走り出した。

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