21.涙を舐める
『この口説き文句で女性は落ちる』
本屋に勧められてこんな本を買ってしまった。
帯によると『状況別にわかりやすく図解で解説! これでどんな女性もイチコロ』だそうだ。
折角なので瞳で試してみようと思う。
「ええっと、『毎朝、君の味噌汁を飲みたい』朝ご飯はパン派だけどな。『君が涙を流す時はいつも隣にいるよ』無理無理。『病める時も健やかなる時も幸せを噛み締める時も辛苦を舐める時も、ずっと傍にいたい』長いって」
本を片手にぶつぶつ呟く。
程なくして、瞳が帰ってきた。
「瞳」
「何?」
千也はにっこりと笑った。
「毎朝、君の涙を舐めたい」
二人の間の時が確実に止まった。
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