15.夜を盗みにくる男

 何となく寝つけない、そんな夜。

 千也は近くのレンタルショップで借りてきたビデオを見ます。

「おおー!」

 アクロバティックな主人公の動きに歓声をあげ

「駄目だ!逃げろ!」

 敵に捕まりそうなヒロインに危機を知らせ

「早く! 早く! 急げ!!」

 ヒロインを助けに行く主人公を応援します。

 映画に感情移入しやすい千也の夜はこうして更けていくのです。


「うるさい……いい加減に寝ろ!」

 瞳が怒鳴り込んでくるまでは。

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