16.ただの婆さん

「あいつのどこがいいんだ?」

 涼しげな顔で瞳は答える。

「私は、年をとったらただのおばあさんになるだけでしょ。でも、彼は違う。彼は成長したら全く別の存在になるの。新たなる一歩が再び始まるの。それって素敵なことじゃない?」

「いや、だけど」

 千也はくだんの『彼』を見つめて言う。

「ルパートさんはこれ以上成長しないと思うんだけど」

 瞳のコレクションは日々、増えていく。

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