12.ヲトメゴコロ

「本当に、恵子ったら最悪なんだから」

 携帯をソファに叩きつけ、瞳は毒づいた。

「何が『ごめん行けなくなった』よ。こっちは一月前から予定を空けてたのよ。それが、二時間前にドタキャンだなんて」

 大仰に息を吐き、どっかり床に腰を下ろす。

「あの子、昔っからそうだったわ。いっつも予定を潰して……」

 かなり被害を被ったであろう瞳に少し同情して千也は言った。

「その恵子って女、最悪だな」

 瞳はじろりと千也を睨む。

「会ったこともないのに、恵子の何がわかるのよ」

 千也は少し身をすくませた。


 乙女心は難しい。

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