第2話
確信しながら
その一撃の狙いは、黒人の心臓。
助かるまいと勝利を確信し、目の前で
「なぁーんで生きてんのぉー!!?」
マジ有り得ん!
丁度
「死ぬでしょ普通死ぬでしょ普通死ぬでしょ普通死ぬでしょ普通」
「……このタイトル、
「にしてもこの距離で
ぽつりと横から落ちる声に返しながら必死に回れ右をして引き返すも、背中とお尻を穴だらけにされていく。
あっと言う間に視界の縁が、飛び散ったような赤に染められた。
死のサインだ。
これが視界一面を覆うと、私は死ぬ。
「とぉうっ!」
破った窓にもう一度飛び込み、家の中へ逃げ込んだ。そのまま逃げ出すと見せかけて窓の左手の壁に張り付き、黒人が来るのを待ち構える。
奴は立ち回り方から、初心者だ。
最初に私を攻撃して来た際、私がロングテーブルからバスルームへ移動している間も移動せず、あの窓の向こうから射撃を続けていたという事は、私を見つけた途端そこから棒立ちになって、ただ撃ちまくっていたという事になる。それでは余りにお粗末だ。躱されたと分かった以上、次の策を打たなければ、そう簡単には勝利を掴めない。実際私に
そんなビギナーにこの私が、まさか押されているだなんて!
「甘いわ
読み通り馬鹿正直に後ろを付いて来ていた黒人が、よっこいせと窓枠を跨いで屋内に侵入しようとしてきた所を、今度こそ仕留めてやると
「あーこんな間抜けな人に追い込まれるなんてぇえー……!」
窓から狙撃されないよう、すぐに壁へ身体を引っ込めると、ショルダーポーチから医療道具を取り出して治療する。視界の縁を覆っていた赤色が、すうっと消えた。ほっとして息を吐くと、窓枠に正中線を置くように垂れ下がっている、黒人の死体を漁る。銃に弾薬、医療道具など、使える持ち物は全て頂く。
「げへへぇ。生き残るのは儂じゃあ……!」
「…………」
ひんやりとした視線を横から感じるが、今は無視! 銃声でここに人がいると辺りに知らせてしまったんだから、また別の人に狙われる前に移動しないと!
身を屈めてリビングへ向かい、ドアから出ようとドアノブに手を伸ばした。
が、それを遮るように、爆発音が耳を襲う。
ぐらりと一瞬視界が揺らぎ、身動きが取れない瞬間が生まれた。
「く……っ
正確には、
もしかして今倒したあの黒人、市街地から誰かに追われて、この家に逃げ込もうとした所に私と出くわした訳!?
「
意を決してドアを開けると、上体を上げながら駆け出した。どうせ市街地のある左手から投げて来たんでしょコンチクショ――。
ズダァンと、空を割るような、一発の銃声が轟いた。
身体の自由が利かなくなり、マネキンのように草原に伏せる。
「……ス、
真っ赤に染まり、暗転してく視界の端に、小さな人影が見えた。
市街地を背に
いつからそこにいたのか。偶然通りがかったのか。
いや、出会った訳などどうでもいい。出会ったが最後であり、始まりなのだ。卑怯も何も、ありはしない。
ここは何でもありの戦場。生き残りたければ勝ち続けろ。そういう場所、なの、だ、から……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます