第2話 バラバラのパズル
夜が明けた・・・
気になって、一睡も眠れなかった・・・
(昨日のあの子は、だれなんだ?)
顔は覚えているのに、名前が思い出せない・・・
情けない話ではあるが、気にしていなかった・・・
(いずれにしても、もう来ないだろう・・・)
僕はそう、思っていた。
でも、その期待?は、一瞬で崩れ去った。
「お客さんよ」
母の声がした・・・
「はーい」
下に降りてみると、昨日のあの子がいた。
「やあ、昨晩ぶり」
「昨晩ぶり」
合わせてみた・・・
「どう?私の名前思い出した?」
僕はとまどう・・・
「その様子じゃ、まだみたいだね。
君の事だから、アルバムとか捨ててるよね」
(どうしてわかるんだ?ある意味凄い)
「命令します。今日1日、私と付き合いなさい。
君に拒否権はありません」
ビシッと指をさされる。
しかし、僕はもちろん、断るつもりでいた。
しかし、それを口にする時間はなかった。
「お母さん、行ってきます」
彼女はそういうと、僕の手を掴んで。強引に連れ出した。
(観念するしか、ないか・・・)
「でも・・・お金を持ってきてない・・・よ・・・」
いきなりきて、いきなり連れ出される。
お金を用意する暇がない。
「大丈夫、私のおごりよ」
彼女はそういって、微笑んだ。
まず、彼女は映画に連れて行ってくれた。
今人気の、コミカルな映画だった。
僕は、ホラーや恋愛物は苦手だ。
かといって、アクションは合わない。
彼女は、それを知っていたのか?
次に、ファミレスに連れて行ってくれた。
奢りなので、遠慮するつもりでいたが、
彼女はその前に、僕の好物を注文してしまった。
これも知っていたようだ・・・
彼女は僕の事を知っている。
でも、僕は彼女を知らない・・・正確には覚えていない。
他にもいくつか巡ったが、いずれも彼女は僕の事を知っていた。
そして、最後は僕を家まで送ってくれた。
(普通は逆なんじゃ)
そうは思ったが、僕は彼女を顔しか覚えていないので、仕方ないだろう・・・
「またね」
そういって、彼女は帰って行った。
不思議な物だった・・・
彼女はデートの間、昨日の事については、何も話さなかった。
いや、聞いてくれなかったが、適切だろう・・・
ただ、自分の近況だけは、いろいろと話してくれた。
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