第6話 妹と仲を深めたらしい

ー お昼休み ー


俺はクラスの女の子+他のクラスの男女+他の学年の女の子に囲まれていた。

俺の事が何やら話題になっているらしい。


怒濤の質問責めを受けている。

まあ、皆かなりハイレベルで可愛いからいいんだけど、ちょっとだけ居心地が悪い…かな。

少しだけ疲れてしまった。


俺が対処に困っていると、通りかかった先生に助けて貰い何とかなった。


「こらこら!松本君が困ってますよ!そんなんじゃ、嫌われてしまいますよ!」

「「…!!?」」


この先生の一言だけでかなり人数が減って、一人ずつ順番に質問や会話をしに来てくれるようになった。

ああ、そこっ!順番で揉めないで欲しいなー。

いやー、先生流石ですね、ありがとう!

…まあ、廊下から鋭い眼光で見つめてくる女の子達が増えたけれどね。


「ごめんね、皆。質問は嬉しいんだけど…まだ学校に慣れてなくて…。少し疲れちゃったから休ませて欲しい…かな。」


遠回しに言って離れて貰った。

明日から学校に通うから、そんなに焦らないでほしいよ。


そんな俺は今、早香の隣の席にいる。

今朝、先生に「早香さんの隣でお願いします。」と言ったからだ。

席は窓際で左に窓があり、前に長い黒髪の女の子、右に早香さん、後ろは誰もいない。


知っている人がいて安心したよ。

まあ、俺の発言の後、早香さんはクラスの女子から、ものすごい嫉妬の目線を受けていたので少し申し訳なくなったけどね。


「今朝はごめんね、早香さん。知っている人が早香さんしかいなかったから、甘えちゃった!」

「いい、いいの!むしろ大歓迎だから。…よかった!夢じゃなかったんだ!」

「ん?夢ってどういうこと!」

「な、何でもないよ!」


気になると思っていると、早香さんの前の席の女の子が教えてくれた。


長めの茶髪でピアスを空けていて、キレ目でパッと見はギャルに近かった。

身長は150センチ中盤くらいかな。

早香さんよりもけっこう低くて全体的に体がスラッとしている。

あ、胸もスラッとしている。

なかなか接し安そうな人だ。


「教えてあげるよ、修史くん。実は早香ね、教室に着いた瞬間、皆に超かっこいい男の子を自転車に乗せて学校まで来たって騒ぎ出してね。」

「だ、だめだって天音あまね~!」


早香さんはあたふたした。


「勿論、そんな事は誰も信じなくて夢でも見たんだろうってことで相手しなかったの。でも、あまりに早香がしつこいから、一回寝てろ!って皆に言われてね。早香ふてくされて寝ちゃったの。」


ははっ!そんな事があったのか。

面白いし、可愛いじゃないか早香さん。


「なるほど、よくわかったよ、ありがと天音さん。」

「んっ!何か分からないことあったら頼ってね。まあ、早香が頼って欲しそうだったから早香優先でね!」

「ちょっと!天音何言って」

「分かったよ!」

「松本くん!?」


他愛もない会話でお昼休みは終わり、後は授業をこなして放課後になった。


授業は大学卒業の俺には退屈だったが、どうせなら学年で上位成績を残したいので頑張った。

…授業中も後ろの席なのにかなり視線が気になったのは内緒だが。


「「松本くん!部活のお誘いなんだけど!」」

「ごめん!放課後用事があるからすぐ帰らないとなんだ!」

「そ、そっか、ごめんね!」


俺の事が広まったらしく、かなり部活の勧誘を受けた。

何件目の勧誘を避けたか分からないが、今日は荷物をまとめて母親の家に行かないとだから忙しいのだ。


職員室で先生と初日がどうだっかのお話をしたあと、スマホで妹に連絡を入れてアパートへ歩き出す。

すると、校門を出る前に女の子に囲まれた。


「君、家どこかな?お姉さんと良いことしない?」

「修史くん…だっけ?家に来ない?良い思い出来るよ!」

「ねえ、君、一年生かな?カラオケいかない?安心してカラオケ行くだけだからさ!」


先輩達かな?

逆ナンされて嬉しいが、優先することがあるのでやんわりと断りアパートに向かった。

お、俺はJKの誘いをちゃんと断ったぞぉ!

…用事がなければ誘いに乗っていたのは間違いないけどね。



ー しばらくして、アパートに着いた。 ー


「あっ!お兄ちゃん、お帰りなさい!どうだった?学校。」

「ああ、楽しかったよ!待たせてごめんね!」

「ううん、今来たところだから。」


アパートの扉の前に座っていた妹に申し訳無いと思いつつ、鍵をあけて、早速手伝ってもらった。

妹はしっかりしていて、テキパキ俺の衣類をまとめてくれていた。

俺の下着を見て真っ赤になっていて可愛かったよ、はははっ!


「ありがとな!」


頑張って手伝ってくれたので頭を撫でつつお礼を言った。

妹は頭を撫でられるのが好きな様子で、恥ずかしそうにしながらも幸せそうないい顔をしていた。


…さて、終わったな。

準備が終了したので、アパートに鍵をかけて妹と二人で電車経由で家に向かう。


「お兄ちゃんはやっぱり目立つね。」

「ん?そうかな?確かに視線は感じるけど。何でだろうね。…ってか、やっぱりってどういうこと?」

「はぁー。無自覚なんだね、お兄ちゃんは。」


何故か妹に呆れられてしまった。

いや、俺だって薄々感づいているよ、でも自分が貴重な男でしかもかっこいいから目立つなんて非現実なこと言えるわけ無いじゃないか。


まあ、現実に起きてんだけどね。

ナルシストにならないためだよ、俺は典型的な日本人なんだから謙虚にいかないと!


そう思いつつ、妹の学校の様子とか聞いたり、妹の質問に答えたりしていると家に着いた。


「さ、早く中に入ろ、お兄ちゃん。」

「で、でけぇ!なんじゃこりゃ!」


普通の一軒家じゃなくて、豪邸だった。

白くて綺麗で広い庭があって門があっていかにもお金持ちって雰囲気がしていた。


「お兄ちゃん、どうかしたの?」

「い、いや、大きい家だなーって思って。」

「うん、芽亜もそう思うよ。まあ、お母さんお金持ちだからしょうがないよ。」


俺は唖然として止まっていたが、早く入ろうよ!と妹に手を引かれて恐る恐る侵入する。

玄関先は、至るところにある装飾品がチカチカしていて落ち着かない。

…本当にこんなお家にお邪魔していいのだろうか?俺は庶民だぞ?


「お兄ちゃんは、こういう豪華なの苦手だったもんね。だから、アパートも服もお金かけないもんね。」


あ、そういうことになってるんだ。

俺の昔の設定がどうなっているのかほとんど知らないが、庶民思考で通って来ているみたいだ。

それは都合がいい。

お金持ちになど、なったことは無いのだよ!


「どうしてもね。金銭感覚が一般的だから。…芽亜はどうなの?」

「も、勿論、お兄ちゃんと同じだよ!お母さんは金銭感覚狂ってるけど、芽亜はしっかりしているもん!」


一緒にしないで!とばかり怒ってきたので、ごめんごめんと誤った。

妹はいたって庶民思考のようだ。

「金銭感覚狂ってる」って娘に言われてるぞ、母さん!

大丈夫か?


そんな風に妹の芽亜と話をしながら、俺の部屋に連れていって貰う。


「ここだよ!お兄ちゃん!」

「どれどれ…あー、よかった!部屋は普通だ。」


この家を見た後だから、どんな部屋になっているか気になっていたが、部屋は至ってシンプルだった。

デーブル、キングサイズのベッドがあって、70インチほどのテレビがあって…。

うん、訂正する、普通ではなかった。

感覚が麻痺してたよ。


「あれ?クローゼットとかは?」

「それは隣の部屋だよ、お兄ちゃん。」

「あ、そうなんだ…。」


家具が少ないと思ったが、服は服専用の部屋、靴は靴専用の部屋などがあるらしく教えて貰った。

俺が覚えてない事を妹は不思議そうにしていた。

何はともあれ、お金持ちもとい、母親に対して少し引いてしまった。


「掃除とか、もしかして人雇ってるの?」

「そうだね、誰もいない時にやってくれているみたいだね。」

「そ、そうなんだ。でもご飯は自分たちで用意するよね?」

「うん、お母さんが料理だけは家族に大切だから誰も雇わないって言ってたから、作らないとだよ。」


ホッとした。

家族以外の人にご飯を作って貰って毎日食べるのは、庶民育ちの俺には居心地が悪いからね。

掃除は…まあ、いいか。


そんな環境の違いに疲れを覚えつつ、俺は今、妹とご飯を作っている。

本当は、妹が一人で作ると言ったが、手伝った方が早く終わるだろ?と説得して一緒に作っている。


「お、お兄ちゃん、料理出来たんだね。」

「まあ、普通くらいだよ。」


妹は俺の手さばきに驚いていたが、一人暮らしの自炊生活で培った腕をなめてもらっては困る。

それにもし「妾は空腹なのじゃ!」とか言って突然美少女が現れたりしたら…作れないと困るからね。←そんな妄想のお陰で料理を覚えた


広いキッチンなので、スペースを無駄に使えるのでかなり楽だった。


「いただきます!」


ハンバーグやサラダ、味噌汁ご飯と一般的な夕食を妹と堪能しつつ、会話を弾ませてご馳走様をする。


「美味しかったよ、芽亜。ありがと!」

「ううん!お兄ちゃんのおかげだよ、ありがと!」


食器を洗い終わり、二人ソファーでテレビを見ながらだらけた。


デレビ番組は女性ばかりで成り立っていたが、男性も活躍している人がいたので、素直によかった。

だがテレビに出ている男性よりも自分の方がかっこいい気がする。←調子に乗りました


(男性もしっかり働く環境があるんだな。)


そう思っていると転入初日ということもあり、疲れが回って来た。

早めに休む必要がありそうだ。


「お、お兄ちゃん。一緒にお風呂はいろ?な、なーんて!」

「うん、いいよー。入るか!」

「……えっ?」


妹にお風呂に誘われたので、一緒に入ることにした。

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